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バルサの個を上回ったビジャレアルの戦術レベル。華麗なだけではないスペインの魅力

リーガエスパニョーラ第30節、バルセロナはアウェイでビジャレアルと対戦し2-2の引き分けに終わった。前半はメッシの活躍などで2-0とリードを得たバルセロナだったが、ビジャレアルは戦術面で上回り後半には2点差を追いついて勝ち点1を分け合った。この一戦にはスペインサッカーの真の魅力と強さの秘密が詰まっていた。(文:海老沢純一)

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

孤立したスアレス。ボールタッチでチーム最少

スアレス
ビジャレアルDFに抑えられたルイス・スアレス【写真:Getty Images】

 華麗なボールさばき、強靭なフィジカルのぶつかり合い、勝利をあきらめない魂の激突、狡猾な駆け引き…。サッカーというスポーツには様々な魅力が詰まっており、その特徴は世界各国のリーグで異なる。

 スペインにはロナウジーニョにシャビ、フィーゴにジダンなどなど世界有数の名手が集ってきた歴史があり、現在でもメッシ、ネイマール、スアレス、クリスティアーノ・ロナウド、ベイル、ベンゼマなどなど世界トップの技術を持つ選手が集結している。

 しかし、リーガエスパニョーラを観る者にとって、最大の魅力と感じられるのが他国のリーグとは一線を画した「戦術」である。

 この日、ビジャレアルはホームのエル・マドリガルにバルセロナを迎えた。結果は2-2。ホームとはいえ、資金的にも戦力的にも大きな差があるバルセロナを相手に0-2から追いついての勝ち点1を獲得した。

 マルセリーノ監督に率いられるビジャレアルは、フラットな4-4-2で戦う。画面越しにも一目瞭然なほどきれいに整列する3つのラインは、やや引き気味ながら完璧なまでに統率されてバルセロナのパスコースを消した。

 バルサは支配率65%、パス成功数594本と普段から考えてもまずまずの数字を残しながらも、最後の決定的なエリアではいい形でボールを入れることができず、センターFWのスアレスのボールタッチ数は先発した11人中ダントツで最少の37回にとどまっていた。

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