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100億の価値を証明したロナウド。そのハットを生んだレアルの戦法と真のMVPの存在

チャンピオンズリーグ(CL)ベスト8、2ndレグ。勝ち抜けるためには最低でも3-0の勝利が必要だったレアル・マドリーだが、クリスティアーノ・ロナウドのハットトリックによってミッションをクリア。ヴォルフスブルクを相手にチーム全体が機能し、さらにロナウドを超える高い評価を得た選手も存在した。(文:海老沢純一)

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

確率10%を覆したロナウドの3得点

ハットトリックでチームを準決勝進出に導いたクリスティアーノ・ロナウド
ハットトリックでチームを準決勝進出に導いたクリスティアーノ・ロナウド【写真:Getty Images】

 周りが何を騒ごうともピッチでの結果が全て。クリスティアーノ・ロナウドはこの日、3度ネットを揺らして過去のデータ上から出た10%の勝ち抜け確率を覆した。

 1点目は15分、右SBカルバハルのクロスをヴォルフスブルクのMFマクシミリアン・アーノルトが足に当てると、ボールはDFラインをすり抜けるようにロナウドの足元へ。これを難なく決めて早い時間での先制に成功。さらに直後の17分、クロースが蹴ったCKをロナウドが頭で合わせて2-2。合計スコアをタイに戻した。

 そして77分、ゴール前でのFKのチャンスでキッカーはロナウド。右足から放たれた鋭いシュートは、壁の間をすり抜けてゴールネットへ。1stレグでの0-2というビハインドをひっくり返す3点目を手に入れた。

 今季のマドリーはホームで圧倒的な得点力を発揮しており、特にクリスティアーノ・ロナウドが量産している。この2ndレグの結果を予想していた人は少なくないだろう。ただ、このような結果となったのは、当然ロナウド1人によるものではなく、様々な要素が絡んでのものだった。

 フォルクスワーゲン・アレーナで行われた1stレグでは、ヴォルフスブルクがサイドの守備を固めたことでレアル・マドリーの中盤はある程度余裕を持ってボールを持つことができていた。その結果、アンカーのカゼミーロも攻撃に出る必要性が出たため、クロースとモドリッチの3人でポイントをはっきりと作り出すことができず、決定的なチャンスを生むことができなかった。

 しかし、サンチャゴ・ベルナベウでの2ndレグではチャンスメイクをクロースに絞り、モドリッチはバランスの維持、カゼミーロは1つ前の展開と機を見た攻撃参加のアクセント役と3人の役割をはっきりとさせた。

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