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バルサを破ったアトレティコの“攻撃的守備”。ポゼッションの価値を崩す新たな時代へ

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

コンパクトな陣形で強烈なプレッシング

 その一方で、守備面のスタッツを見ると、タックル数ではバルサの27回に対して35回、インターセプトでは10回に対して21回、クリア本数は11回に対して29回と、いずれも上回っている。データだけを見ても「攻撃」のバルサと「守備」のアトレティコという構図がわかる。

 一般的に、「守備的なチーム」に対して思い描くイメージは、GKを含めた10人でゴール前を固め、1人がカウンターを狙うために前線に残る、というものだろう。そして、こういったサッカーに対して不満を漏らす人も少なくないのも事実だ。

 しかし。アトレティコは典型的な「守備的サッカー」とは全く異なっている。この2ndレグでも4-4-2の3つのラインがコンパクトな陣形を保ち、バルサのボールホルダーに対して強烈なプレッシングを仕掛ける。

 例えば、21分にネイマールが左サイドでボールを受けた際には3人が寄せに走り1人がカバーのために構えていた。ピッチ全域でこのような場面が多々見られ、さらに前線のグリーズマンとカラスコもバルサのDFラインに圧力をかける。

 フィールドプレイヤー10人が狭いエリアで全力のプレスを仕掛けるため、バルサは攻撃の形を作ることができない。最前線のスアレスは、90分でボールタッチ数がわずか24回。シュート数はスアレスが2本、メッシが3本、ネイマールは1本に終わった。

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