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日本代表 8年前

高倉麻子監督率いる新生なでしこJ発足。年代別代表との兼任。理想的なルートで新時代へ

text by 藤江直人 photo by Kudo Asuka, editorial staff, Getty Images

トルシエが思い出される年代別代表との兼任

JFAの岡野俊一郎最高顧問
JFAの岡野俊一郎最高顧問【写真:フットボールチャンネル編集部】

 スペランツァF.C.高槻でプレーした2004シーズンをもって、現役を引退した高倉氏は指導者に転身。2011年6月に女性では3人目となる、日本サッカー協会公認S級ライセンスを取得する。

 2013年にはU‐16日本女子代表の監督に就任し、同年10月のAFC・U‐16女子選手権を制覇。翌2014年3月から4月にかけてコスタリカで開催された、FIFA・U‐17女子ワールドカップでの初優勝に導く。

 グループリーグと決勝トーナメントの6試合ですべて勝利。奪ったゴール数23に対して、許した失点はベネズエラ女子代表との準決勝における1点だけという完全勝利。一方で招集した21人全員を起用して、育成年代に不可欠な大舞台における経験も積ませた。

 岡野氏が提言した通りに、2014年9月にはU‐18日本女子代表の監督にステップアップ。昨年8月のAFC・U‐19女子選手権を制し、AFC女子年間最優秀監督に4年連続で選出されている。

 アジア女王の肩書とともに、U‐20日本女子代表は今年11月にパプアニューギニアで開催されるFIFA・U‐20女子ワールドカップに臨む。2年に一度の大舞台の指揮も、引き続き高倉監督が執る。

 年代別代表との兼任監督でまず思い出されるのは、男子のフィリップ・トルシエ監督となるだろう。エキセントリックな言動で日本協会と軋轢を生じさせることも少なくなかったフランス人指揮官に対し、当時の会長だった岡野氏はいまもポジティブな思いを抱いている。

「トルシエもいろいろな問題があったけれども、やはりU‐20代表を自分で見ようとナイジェリアまでいって準優勝させて、そこから出てきた選手がオリンピックを経て、最終的には2002年のワールドカップやその後の日本代表で生きてきたわけですから。いまの代表監督はユース以下を見ないものね。

 やはりある程度時間が経てば家族も日本に来て、休みは年に何日と契約であるんだろうけれども、日本の選手がいるからといってヨーロッパへ帰っちゃダメですよ。時間があったらユースを見よう、ジュニアユースも見ようというくらいの気持ちになってくれないとね。そうじゃないと、若手のいい選手は育ってこないよ」

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