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レスター優勝の裏で演じる「悲劇の二都物語」。降格危機に瀕するニューカッスルとサンダーランドの過去と現在

text by 山中忍 photo by Getty Images

ニューカッスルとサンダーランドは「悲劇の二都物語」の主人公に

ベニテス アラーダイス
ニューカッスルのラファエル・ベニテス監督(右)とサンダーランドのサム・アラーダイス(左)【写真:Getty Images】

 言うまでもなく、両市民は残留の可否とダービーの有無にかかわらず来季も互いのホームに通う。ニューカッスルとサンダーランドは、大半を降格圏内で過ごした今季も観客動員数ではトップ6入りが濃厚だ。2部での前回も、ニューカッスルは約43000人(10年)、サンダーランドも約32000人(08年)の平均動員数を記録している。

 この安定した集客力、換言すれば集金力が、北東部の両雄には「降格してもすぐに返り咲ける」とする声が国内に少なくない要因の1つだ。

 だからこそ、両軍の経営陣には反省と改善を求めたい。チームの弱体化が進んだ原因はどちらもフロント主導の補強失敗にある。ニューカッスルでは、ファンがロンドン在住の起業家マイク・アシュリーをオーナーとする現政権の終焉を願うようになって久しい。

 サンダーランドを所有する米国人投資家エリス・ショートに関し、監督だったロイ・キーンが「彼がいる限り成功などあり得ない」と言ってクラブを去ったのは、もう8年前のことだ。

 仮に降格を避けられなかったとしても、自業自得の古豪衰退には歯止めをかけなければならない。悲劇の「二都物語」における真の主人公である、両地元クラブのサポーターのためにも。

(取材・文:山中忍【ロンドン】)

【了】

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