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アジア 8年前

豪州版レスター?“バルサ流”で最下位から頂点へ。Aリーグを席巻したアデレード率いたのはあの名手

text by 植松久隆 photo by Getty Images

“バルサ流”のチームを率いたのはあの名手

ギジェルモ・アモール
今季のアデレードを率いたギジェルモ・アモール監督【写真:Getty Images】

 そんな今季のアデレードを率いたのは、ギジェルモ・アモール(48)。この名前に反応する欧州サッカー・ファンも多いだろう。90年代のバルセロナ、特にヨハン・クライフ時代に重宝された名手だが、周りのキラ星のようなスター選手の中ではどちらかというと“いぶし銀”で輝いたタイプの選手として記憶される。

 アデレードには、長年の友人でバルセロナの下部組織でのコーチとしての同僚である同じスペイン人のジョセップ・ゴンバウ前監督の引きもあって、14年にテクニカル・ディレクターとしてやってきた。その後、急なゴンバウの辞任に伴い、今季から監督に就任している。

 スペインでの指導者生活を通じても初めてとなるトップチームでの指揮に、手腕は未知数とされて臨んだシーズン。前半戦は勝ちから見放され、ようやく初勝利を挙げたのが最下位で臨んだ第9節。27試合しかないリーグの前半戦も終わるというようなタイミングだった。

 そこからチームは生まれ変わったような快進撃を見せ、初めて首位に立ってから臨んだ第23節にホームでメルボルン・シティに土を付けられるまで、実に14試合無敗(11勝3分け)の破竹の進撃。そのメルボルンC戦の小休止の後、残り4試合を3勝1分けで乗り切ったアデレードは、近年まれに見る混戦を最後方からの長い脚での差しで、ハナ差(勝ち点1)差し切ってのレギュラーシーズン優勝を果たした。

 2013年のゴンバウ就任後、バルセロナのパス・サッカーを彷彿させる“スペイン流”のポゼッション・サッカーに大きく舵を切ったアデレード。ここ数年は、外国人枠も主にスペイン人、アルゼンチン人に費やし、スペイン流の新たなカルチャーをクラブ内に浸透させてきた。

 ゴンバウの2季で6位、3位と上がってきたレギュラーシーズンでの順位も、今季のアモール体制で優勝にまで上り詰めて、その新しいやり方でのはっきりとした結果を示すに至った。

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