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アジア 8年前

豪州版レスター?“バルサ流”で最下位から頂点へ。Aリーグを席巻したアデレード率いたのはあの名手

text by 植松久隆 photo by Getty Images

Aリーグに来る人、去る人、残る人

アーチー・トンプソン
Aリーグ歴代最高得点記録を持つ“ミスター・ビクトリー”ことアーチー・トンプソン【写真:Getty Images】

 シーズンが終わって日が浅いが、既に何人かの選手の去就が話題に上っている。代表経験者では、ブリスベン・ロアの黄金期を支えたDFシェーン・ステファヌート(36)が引退を決意。メルボルン・シティのキャプテンを務め、スコットランド、イングランドでも活躍したパトリック・キズノボ(35)も現役引退を表明、クラブのユースのコーチに就任する。

“来る人”としては、あのハリー・レドナップがセントラルコースト・マリナーズに“コンサルタント”として関わることが発表されたが、どういう形での職務なのかは続報を待たねばならない。

 さらには、今季も惜しいところでタイトルを逃したパース・グローリーが積極的な補強を見せる。ここまで、共にパース出身で長くイングランドプレーしてきた2人の中堅の代表選手を獲得。

 その2人とは、期待されながらもケガで代表定着を果たせずにいるDFリース・ウィリアムズ(27)、中盤ならどこでもこなせるクリス・ハード(27)。いずれもトップフォームを取り戻せば十分に代表復帰の目が残る有力選手だけに、まずは新天地での定位置確保を目指し、国内からアンジ・ポスタコグルー監督へのアピールを続けていく。

 特筆すべきは、11季の長きに渡って所属したメルボルン・ビクトリーに契約更新が無い旨を伝えられての涙の退団となったアーチー・トンプソン(37)。今季も負傷などで出番が限られた中で印象に残る仕事をして見せた、Aリーグ歴代最高得点記録を持つ“ミスター・ビクトリー”の次はまだ決まっていない。

「体調は最高だし、まだ、何かを与えることができると思う。来季はAAMIパーク(ビクトリーの本拠地)のピッチに足を踏み入れて、自分の聞きなれたチャントを聞けないという現実を何とか受け入れなければいけない」と語る、まもなく38歳を迎えるトンプソンだが、運動量や決定力、存在感など、どこをとってもまだまだやれるはず。

 その経験と決定力を求めるクラブがAリーグ内で名乗りを上げる可能性は低くはない。彼ほどの実績なら多少の年齢面の不安があっても海外からのオファーも考えられるが、やはりAリーグのレジェンドは国内でその輝かしいキャリアを全うしてもらいたいものだ。

 Aリーグのシーズンが終わったということは、オフの選手の去就などが活発化するということ。一昨日に伝わってきた「元代表主将ルーカス・ニール、自己破産!?」なんてニュースなんかよりも、もっと明るいビックニュースが飛び込んでくるのを待つことにしたい。

(文:植松久隆【ブリスベン】)

【了】

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