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香川真司 8年前

香川を苦しめた長谷部の執念。ドルトを機能不全に、フランクフルトが見せた残留への意地と義務感

7日のフランクフルト対ドルトムントは苦しい残留争いを強いられているフランクフルトに軍配が上がった。ドルトムントはボールを支配するも決定機は少なく、香川も反省の弁を述べた。一方の長谷部は守る苦しさを口にするも、同時にこの試合の持つ大きな意味を語った。(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

香川を追いかけ回した長谷部。「1タッチした後ですぐ……」

香川真司と長谷部誠
香川真司(左)と長谷部誠(右)【写真:Getty Images】

 執念に屈した。2016年5月7日のブンデスリーガ第33節、ボルシア・ドルトムントはアウェイでフランクフルトと対戦する。

 フランクフルトはなりふり構わなかった。このまま16位で終われば、入れ替え戦に回ることになる。残り2戦の結果次第では、自動降格する。

 試合が始まる前には、スプリンクラーを作動しなかった。水を撒かないことでBVBのパス・スタイル=持ち味を少しでも削ろうとする。キックオフの笛が鳴れば、5-4-1でタイトな守備を敷く。長谷部誠は「僕らはとにかく真ん中を閉めてやっていた」と言う。

 恥も外聞もかなぐり捨てたフランクフルトに対して、ドルトムントは中盤がダイヤモンド型の4-4-2で挑んだ。

 香川真司はトップ下で先発する。しかし後半戦で主流だった2シャドーとは違って、1人でトップ下を務めることとなった。つまりバイタルエリアでのプレッシャーをモロに受けることになる。香川は「前半は特にやりづらかった」と言う。

「もうすごい相手のプレッシャーを感じていましたし、ボールを受けてもCBとハセさんとね、相手のダブルボランチが、1タッチした後ですぐに狙いに来るし……」

 香川の足元に入ってくるボールに対して、オチプカ、アブラハム、ルスの3CB、そして長谷部とフスティのダブルボランチは抜け目がない。フランクフルトの守備陣からすれば、的を絞りやすかっただろう。マークしたトップ下の香川について、長谷部は「僕らがやっているサッカーはかなり引いていて、スペースがなかったので難しかったとは思います」と語った。

 つまり、ドルトムントの布陣変更とフランクフルトの守備が相まって、香川から安定したプレーとダイナミズムを奪ったのだ。

「ちょっとでもコントロール、タッチが崩れるとボールを失う可能性があったので、あまり受けるチャンスはなかったですし、受けても効果的なプレーはなかなかできなかったです」(香川)

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