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Jリーグ 8年前

北谷史孝、山口で戦うプロ3年目の覚悟。「試合に出たい」強い思いが大きな力に

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「マリノスに成長して帰れるなら、帰りたい」し

 日進月歩の勢いで成長を続ける若者には、もちろんまだ多くの欠点が残されている。第11節のザスパクサツ群馬戦は強い雨風の影響を受けながら無失点に抑えたものの、不用意なパスミスや必要のないファウルなどで自らピンチを作り出してしまう場面がこれまで何度も見られた。すでに3枚のイエローカードを提示されており、出場停止にリーチがかかっている。

 だが、上野監督からの信頼は揺るがない。細かなミスは経験の少なさによるもので、後々いくらでも取り返すことにできるポジティブなミスだと捉えている。「どんどん経験を積んで、より高いレベルにいってほしい」と、果敢にチャレンジすることの重要性を説いた。

 未熟な自分を受け入れ、あえて難しい課題に挑戦させることで成長させてくれる環境に飛び込み、北谷は一歩ずつ階段をのぼっている。プロ3年目に懸ける決意は固い。「個人として試合に出て、個人としてレベルアップするのも大事ですけど、チームとしていい位置にいけて、チームが勝てたらそれが一番ベスト」と語るが、より高いレベルで自分の力を証明する日がくることを望んでいる。

 今季は横浜FMからの期限付き移籍で、来季以降復帰できる可能性が残されている。北谷の得意とするポジションでは中澤や栗原はベテランの域に達しているが、ファビオは健在で、新井一耀やパク・ジョンスといった年上のルーキーたちが台頭し始めた中、古巣に対する思いも語ってくれた。

「マリノスに成長して帰れるなら、帰りたいと思います。ここ(山口)でいまどれだけ自分が成長できるかというのがすごく大事。マリノスに帰るならやっぱり試合に出たいので、自分のストロングポイントを出して、(復帰して)試合に出れるよう頑張りたいと思います」

 力強く発せられたその言葉には、自らの置かれた立場を理解し受け入れたハタチの固く揺るがない決意が垣間見えた。山口で充実の日々を過ごしているが、現状に満足しているわけではない。貪欲に成長のみを欲し、一人前として羽を広げて飛び立つその時に備えている。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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