ロアッソが願う熊本の復興。故郷への思い、敗戦の悔しさ、古巣・千葉からの愛情…巻誠一郎が浮かべた涙

震災によって試合中断を余儀なくされていたロアッソ熊本は、15日の千葉戦でおよそ1ヶ月ぶりの試合再開を果たした。試合には敗れてしまったが、ロアッソの選手、そしてサポーターは熊本復興への願いを全国に示した。試合後、故郷への思い、敗戦への悔しさ、そして古巣・千葉からの愛情について語った巻誠一郎の目には、涙が浮かべられていた。
(取材・文:今関飛駒)

2016年05月17日(Tue)11時02分配信

text by 今関飛駒 photo Dan Orlowitz , Getty Images
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ロアッソ、再開初戦で敗戦も…全国に伝えた感謝のメッセージ

ロアッソ
ロアッソ熊本のサポーターが掲げた横断幕【写真:ダン・オロウィッツ】

「必ず今日は勝ちで終わりたかったゲームですし、熊本のために絶対勝つっていうのをチームとして目指してやってきたので、結果として0-2で負けてしまってすごく悔しいゲームとなってしまいました」

 ロアッソ熊本のキャプテン、岡本賢明は試合をそう振り返った。

 4月14日、熊本に甚大な被害をもたらした震災は多くの犠牲者を出し、そして家屋を倒壊させた。ホーム、アウェイともに試合中断を余儀なくされていたロアッソにとって、15日の千葉戦はおよそ1ヶ月ぶりの試合だった。

 だからこそ、この試合で熊本に勝利を届けたかった――。ロアッソの選手、サポーターの気持ちはひとつだった。

 しかし、結果は0-2で敗戦。前半はスコアレスで折り返したものの、後半には運動量が落ちて勝負を決められてしまった。

 ロアッソの巻誠一郎は、「結果が物語っていると思いますけど、実際の勝負はそんなに甘くなかった。そういう中でもこの準備期間で選手とチームがやってきたことっていうのは間違いなかったという思いと、できることはやったなという思いと、両方が入り混じっています」と結果について語った。

 だが、この試合に本当の敗者はいないこと、そしてサッカーには勝ち負け以上に大きな力が秘められていることを改めて実感した。取材を通じ、そんなことを感じずにはいられなかった。

 ロアッソサポーターが陣取るアウェイスタンドには、熊本の復興を願う横断幕が多く掲げられていた。一方では、日本全国に感謝の気持ちを伝えるメッセージがそれ以上に多く見られた。

「全国の皆様の思いに感謝 世界に誇れる熊本を取り戻すけん」
「全国の皆様 温かい御声援ありがとうございました!!」

 選手たちにとって、この試合は熊本のために戦う試合であった。だが、それと同じように、フクアリに駆け付けた熊本の方々にとっては支援への感謝の気持ちを全国に伝える場だったのかもしれない。

 ロアッソの清川浩行監督も、試合後の会見で最初に口にしたのは、「今日のゲームを迎えるにあたって、本当にたくさんの関係者の皆さんにご協力をいただいて迎えることができました。熊本のサポーターの皆さん、千葉のサポーターの皆さん、足を運んでくれて応援してくれて、本当にありがとうございました」という感謝の言葉だった。

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