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日本代表 8年前

ダバディさんの通訳論。本業でなかった日本代表通訳。トルシエとハリルの違いとは?【INTERVIEW】

シリーズ:FChan TV text by 中山佑輔 photo by Asuka Kudo/ Football Channel, Getty Images

WOWOWでハリルホジッチの通訳を担当している理由

―――フランス語から日本語する難しさみたいなものを感じることはありますか? 日本語からフランス語にするのと、フランス語から日本語にするのとでは、作業として全然違いますよね。

 誰にとっても、自分のネイティブな言語に訳したほうが簡単ですよね。要するに日本語からフランス語にするほうが、僕にとっては簡単です。そういう意味で、フランス人の通訳より日本人の通訳が日本代表には合っていると思います。なぜかっていうと、最終的には選手が理解すればいいから。特に(樋渡)群さんは指導者の経験があるから、ハリルホジッチさんが戦術上言いたいことがわかれば、簡単に日本語へ変えられる。

 ただ、メリット、デメリットは両方あって、日本人の通訳をつけると、外国人の監督はその人を仕事の人としか見ないですよね。トルシエさんにしても、ハリルホジッチさんにしても、たまに奥様も来ますけど、だいたい1人だから孤独な時間が多いんですね。だから僕はプライベートのときもトルシエさんと一緒にいて、母国の文化の話、料理の話などをして、孤独を和らげていました。それはなかなか(樋渡)群さんには難しいですね。

 お金がかかるんだけど、仕事上の通訳を群さんがやって、プライベートの通訳も必要だし、たとえば奥さんが来たら奥さんにも通訳をつけたりとか、アフターケアはそれくらい必要。ハリルホジッチさんはトルシエさん以上に24時間サッカーという人なので、結構家にいてずっとサッカーの試合を見たり、仕事をしていても平気な人。トルシエさんにそれは無理だったんですね。出かけたがっていたし、日本文化も見たがっていた。でも出かけるときには案内が必要になる。

―――樋渡さんにしても、やっぱり協会の人ですからね。

 そうそう。私をはじめ協会の人じゃない矢野さんだったり、千田さんだったり、過去には色々あったので、今回は協会の人にしたかったんでしょうけど。その辺は割り切ってよくできていると思います。ハリルホジッチさんのWOWOWの仕事が来た時に、通訳は樋渡さんがやるのかなと思ったんですけど、協会はそこはやらないと。協会の仕事は協会で、プライベートとか自分の仕事など他のことは代理人と他の通訳でやってくれということで。とはいえまだ連携は取らないといけないですね。

(取材・文:中山佑輔)

※フローラン・ダバディさん出演の『FChan TV』は以下にてご覧いただけます。

【了】

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