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日本代表 8年前

小林悠と浅野拓磨がハリルJにもたらす可能性。指揮官が求む“点が取れるFW”になれるか

text by 河治良幸 photo by Getty Images

2トップの可能性も。浅野と小林が組む?

 小林悠は浅野との特徴の違いを「タイミング」という表現で説明する。味方がボールを持った瞬間に、爆発的なスピードで裏のスペースに抜ける浅野とは違い、小林悠は川崎フロンターレの風間八宏監督が言う「相手の背中を取る」動きを意識している。

「(浅野)拓磨は本当にスピードがずば抜けているので、僕はタイミング、相手の体勢を見て動き出すということで、そこは違うタイプだと思いますし、そこは自分の良さとか色を出せれば」

 どちらかと言えば浅野はカウンター、小林悠は中盤の組み立てから守備のギャップを狙うスタイルだ。その意味で小林悠にとって川崎の同僚である大島の選出は「めちゃめちゃでかいですね。やっぱり動きを言わなくても分かってくれているというのは」と素直に認めるが、出し手が香川真司だろうと清武弘嗣だろうと、タイミング良くパスを引き出すことを意識して合宿に取り組んでいく姿勢は変わらない。

 前述の通りハリルホジッチ監督は2トップの採用も示唆している。本田をブルガリア戦はもちろん、デンマークかボスニア・ヘルツェゴビナが相手になる2試合目も欠くかもしれない今回はその機会と言える。

 そこで同じ裏を狙う動きながらタイプの違う浅野と小林悠が組むシチュエーションは起こりえるのだろうか。その場合は「自分がポストプレーは意識しなきゃいけないなと思います」と小林悠は語る。

 基本的には前線に張ってポストプレーと仕掛けの両方を担える金崎夢生と指揮官が「(プレミアリーグで優勝したレスターとは)全く違う役割をやってもらう」と語る岡崎慎司がCFの主力候補となる。

 だが、より強い相手に対して裏を狙う意識をチームとしても高める中で、浅野や小林悠がどう絡んでいくのか。また左サイドがメインとなる宇佐美貴史やボランチでの起用プランも明かされた原口元気がどういう働きをしていくのか。

 彼らがキリンカップで結果を出せるかどうかは最終予選の初戦となるUAE戦での選考にも大きく影響すると考えられる。ブルガリア戦は日本のサッカーファンが誰でも知っているようなビッグネームこそいないが、組織的なディフェンスはEURO予選でもイタリアなど強豪を苦しめており、その時の主力だったほとんどのメンバーが来日する。

 3年前に日本が同じホームで惨敗した相手でもあり、とりわけFW陣にとってゴールの試金石となるはずだ。

(取材・文:河治良幸【豊田】)

【了】

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