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EURO2016 8年前

北アイルランド、EURO初出場までの過去と現在。“古豪の小国”に現れた異色の新人【東本貢司の眼識】

シリーズ:東本貢司の眼識 text by 東本貢司 photo by Getty Images

久しぶりの大舞台で目論む“ひと暴れ”

デイヴィッド・ヒーリー
北アイルランド代表史上最多得点記録を持つデイヴィッド・ヒーリー【写真:Getty Images】

 おや? かのジョージ・ベストは? あるいは、往年の通なら忘れられないはずの、中盤の名司令塔、ウルヴァーハンプトン史上最高の名手、デレク・ドゥーガンは? 残念ながら、この偉大なる両名はそれぞれの事情で、代表プレーヤーとしての国際舞台における輝かしい足跡を残せないまま、キャリアを終えた。ただ、この二人とジェニングズは北アイルランドのフットボールを語る上で欠かせない三大スターであることは間違いない。

 なお、現代表監督のマイクル・オニールは上記3名より少し下の世代で、1982年大会ではキャプテンを務めた当時の重鎮の一人。巡り巡って彼が率いる北アイルランドが、ユーロ初出場を決めた事実も何かの縁。ここにも“ひと暴れ”してしかるべき根拠が?

 もう一人、近年の同代表史に名を残す一人として、最多得点記録(36)を持つ火の玉ストライカー、デイヴィッド・ヒーリーにも触れておこう。なんとなれば、ヒーリーの大活躍でユーロ初出場まであと一歩と迫った、2008年大会(オーストリア/スイス)予選の成績は、実際、今大会のそれとほとんど遜色がないのだから。

 さて、ついにその悲願を果たした現北アイルランド代表の特徴と言えば、ベテラン、アーロン・ヒューズ(つい先日、代表キャップ100に到達)、ギャレス・マッコーリーに、ジョニー・エヴァンズらで固める堅守からの、高速カウンター。

 指揮するは円熟の31歳、キャップ数83を数える大黒柱、スティーヴン・デイヴィス。それを補佐するコリー・エヴァンズ、オリヴァー・ノーウッド、シェイン・ファーガソンら中盤の猟犬たちに、2トップが“流浪”のキラーエース、カイル・ラファティーと新鋭ジョシュ・マジェニスといったところ。

 また、監督オニールは基本3-5-2の柔軟で速い切り替えが効くシステムを好んで使うが、そこでキーマンとなるのがこちらもベテランのクリス・ベアードになる。

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