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豪州番記者からの提言。Jを参考にすべきAリーグ。入れ替えなし、2部もない不思議な状況を改善せよ!

text by 植松久隆 photo by Taka Uematsu

少ない試合数。リーグシステムの変更も必要か

 さらには、11年間の短い歴史で既に3度を数えるチーム消滅騒動が、FFAとAリーグの腰を引けさせている。毎年のようにどこかのクラブが経営危機に陥り、しかもFFA自体がニューカッスル・ジェッツを非常措置として所有している状況下では、よほどの確信が無いとエクスパンションには踏み切れないのだ。

 先月、FFAが発表した来期以降の中期的ビジョンでも、その可能性には触れながらも、まずは今の有り様を固めていくことに重きを置くとして、エクスパンションを事実上、先送りする姿勢を示した。

 それでも、毎年のようにエクスパンションの是非などリーグ改革の様々な意見が侃々諤々の議論となる。それは、まさにAリーグの今の有り様が完全でないということの証左だ。

 特に問題なのは試合数。Aリーグはわずか10チームによるリーグ戦で、独特の変則的ホーム&アウェイで各チーム間が3試合ずつ対戦(筆者注:3試合目の開催地に関しては、いずれかのホームで戦い、その翌年の3試合目がもう一つのチームでのホームというように一年おきでの持ち回りとなる)しても、年間わずか27試合にしかならない。

 これは、筆者がAリーグの将来的なクラブ数の理想と考える14まで増えたとしても、純粋なホーム&アウェイだと試合数は26にしかならないので、試合数の根本的な問題を解決するには、エクスパンションと同時に、将来的にはスコットランドが採用しているようなスプリット・システムの採用なども真剣に考慮する必要がある。

 いずれにしても、世界の多くのプロリーグが年間30試合を超す試合を行う中で、厳密なホーム&アウェイの公平性が保てない変則開催での27試合という試合数の少なさへの対策は急務だ。

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