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イタリア代表、前評判の悪さに潜む吉兆。指揮官も認める“武器不足”とユーベから移植したカテナッチョ

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

コンテ監督がユーベから移植した守備戦術

レオナルド・ボヌッチ
最終ラインからのゲームメイクの軸となるレオナルド・ボヌッチ【写真:Getty Images】

 コンテ監督が望みを託すのは、もっぱらチームワークである。否、そこ以外にない。彼はこの大会の直前にして、大きくシステムを変えてきた。

 それは、3-5-2への変更である。これまでコンテ監督は代表においては4バックでチームを作ってきたが、中盤の要であるクラウディオ・マルキージオとマルコ・ヴェラッティが故障で使えなくなったために大改革。GKのジャンルイジ・ブッフォンを含む、ユベントスで3連覇を築いた時代の守備ブロックをそのまま使い、戦術も移植したのである。

 最終ラインを極端に上げて、彼らもビルドアップに参加させる。いや正確に言えば、ゲームを彼らが組み立てるぐらいの勢いで後方でパスを回させるのだ。その軸となるのはCBの中央にいるレオナルド・ボヌッチ。一列前にいるアンカーとともに、後方からサイドや縦に速いパスを入れていく。

 前方では2トップとともに、両サイドに位置するウイングバックが極端に高い位置を取る。彼らにボールが収まると機動力に優れたインサイドMFがフォローに走り、速いテンポでゴール前へと迫る。

 一方で守勢に回れば高い位置での挟み込みを狙い、カウンターで裏を狙われる前に潰す。運動量重視のアグレッシブな戦術は、まさしくコンテが率いたユーベ時代のそれだ。

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