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Jリーグ 8年前

芸術的FK沈めた浦和・阿部勇樹。「他の人が蹴ってくれるので」。黒子に徹する主将の存在感

text by 藤江直人 photo by Getty Images

チームの勝利が最優先という信念

 謙遜しているのと同時に、チームの勝利がすべてに優先するという哲学が阿部の体には脈打っている。今シーズンの戦いを振り返れば、ホームで勝利を、それを完封で飾ったのはファーストステージ第3節のアビスパ福岡戦までさかのぼる。

 その点を指摘された阿部は「(そうした記録には)まったく興味がありません」と断ったうえで、自らを戒めるように言葉を紡いでいる。

「もちろんゼロで勝たなきゃいけないし、それ(完封勝利)をどの試合でも目指しているなかで、そこまでさかのぼらなきゃいけないのかというのは、いま言われてちょっと反省しなきゃいけない部分だと。それをセカンドでは数多くしていかなきゃいけない。ゼロで抑えてしっかりと勝つチームが、セカンドステージを取ると思うので。これから気温も上がって苦しいなかでも、みんなで耐え抜く、守り抜くという時間帯もあるだろうけど、これからも続けていけるようにしたい」

 ファーストステージは終盤まで優勝争いに絡みながら、6月11日からの8日間でアントラーズ、ガンバ大阪、サンフレッチェ広島に3連敗を喫して脱落した。

 昨シーズンはファーストステージを史上初の無敗で制し、年間王者を決めるチャンピオンシップに駒を進めた。翻って今シーズンは、現時点で何も手にしていない。年間総合順位を見ても、首位の川崎フロンターレに勝ち点6差の3位に甘んじている。

 タイトル獲得を義務づけられたレッズのキャプテンを任されているからこそ、勝って兜の緒を締めろとばかりに、レイソル戦後にも課題をあげることを忘れなかった。

「(レイソルの)前線のメンバーを見ると走れる選手がそろっていたので、ある程度前から来るかなというのはわかっていた。そこを(最終ラインを)3枚で回すのか、4枚にして回すのかというのを、相手の位置を見ながら臨機応変に変えていかないと。そういう点を突き詰めていくことによって、今後のセカンドステージの戦いで相手がやりづらさを感じると思うので。改善していくために必要なことを、整理していきたい」

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