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豪州、代表不人気と国内リーグの”格差拡大”。問い直されるサラリーキャップの意義

text by 植松久隆 photo by Getty Images

代表の中心選手に提示された驚きの金額。イングランドで羽ばたけるか

アーロン・ムーイ
マンチェスター・シティへと移籍したアーロン・ムーイ【写真:Getty Images】

 6月から7月にかけては、来季のAリーグの編成が一気に進む時期で豪州関連の選手の動きが盛んになる。そんな中で、7月に入った直後に、今や豪州代表の押しも押されもせぬ中心選手に育ったアーロン・ムーイのマンチェスター・シティ移籍のニュースが入ってきた。

 この移籍はメルボルン・シティからの”グループ内移籍”で「織り込み済み」ではあったが、驚いたのはムーイにオファーされた年棒額。豪州選手歴代トップクラスの評価で4年契約で推定年俸400万豪ドル(約3億2千万)という契約。

 そのムーイだが、こちらも当初の予想通りに「イングランドの水に慣れろ」と言わんばかりのクラブの方針で、加入後すぐに、チャンピオンシップ(イングランド2部)のハダーズフィールド・タウンへのローン移籍が決まった。昨季チャンピオンシップで19位、来季はさらに上を目指すクラブでは当然ながら主力としての活躍が期待される。

チャンピオンシップの下位チームでシーズンを通して中心選手として戦い抜くことができれば、25歳になっても成長の速度を緩めることのないムーイが、イングランドの水に慣れた2年目以降にプレミアで大活躍を見せても驚かない。

 ウェスタン・シドニー・ワンダーランズ(WSW)で小野伸二と共にプレーしたことによって、元々の大きなポテンシャルを開花させたムーイ。豪州サッカーの期待を背負いイングランド挑戦の道のりを今歩み始めたばかりの彼を温かく見守りたい。

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