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Jリーグ 8年前

磐田、強力2トップの脅威。1stからの進化。守備の負担減らした「憲剛不在」と「攻撃時間」

text by 青木務 photo by Getty Images

2ndステージ未勝利も明るい兆し

 ジェイとアダイウトンは決して守備に奔走し続けられるわけではないが、その分攻撃に移ったときのパワーは格別で、彼らが「攻め残る」ことが相手への牽制となった。特にジェイは貴重な先制点を挙げただけでなく、巨躯に似合わぬしなやかなドリブルで突破を図り、巧みで正確なポストプレーでも攻撃を活性化させた。

 川崎Fに主導権を握られる中で相手に一泡吹かせるには、前線でどれだけタメを作れるかが肝心だった。前で起点ができたからこそ攻撃に厚みが生まれ、相手に攻められっぱなしではなかったからこそ、全体がズルズル下がらずに対応できた。

 アウェイゲームでは後方からのサポートが不十分だったが、この日は両WBの中村太亮、太田吉彰ともに高い位置でプレー。左サイドから奪った先制点の起点になったのは、中村太だった。攻撃の意思を表現したことで、前回対戦時はできなかった『川崎Fを帰陣させる』という展開に持ち込んだ。

 この試合で得た勝点は1。今回も勝ちきれなかったかもしれないが、大宮アルディージャ戦やヴァンフォーレ甲府戦とは意味合いが違う。リーグ最強の攻撃力を誇り、年間勝点で首位を走る川崎Fと互角に渡り合った。磐田にとって非常に大きな意味を持つはずだ。『負けなくて良かった』ではなく『勝てたかもしれない』という前向きな悔しさは、勝利への渇望をさらに呼び起こすはずで、選手たちの集中力もどんどん高まっていくだろう。

 2ndステージはいまだ勝利がなく、3戦連続ドローという結果が後々のダメージとなるかもしれない。それでも、チームの成長を感じ取れた今回の川崎F戦を見れば、磐田が浮上していくチャンスは十分にあると言えるのではないだろうか。

(取材・文:青木務)

【了】

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