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Jリーグ 8年前

磐田、強力2トップの脅威。1stからの進化。守備の負担減らした「憲剛不在」と「攻撃時間」

text by 青木務 photo by Getty Images

「攻撃参加の素振りを見せないと、彼らは帰陣しない」

 後半途中からは文字通り防戦一方で、磐田は3-4-2-1の両WBが最終ラインに吸収され5バックになってしまった。疲れが見え始めると、川崎Fは容赦なくゴール前へ侵入してきた。磐田は何とか押し戻そうと、交代カードを切っていく。ベンチスタートとなった中村太亮をピッチに送り込んだのも、ゴールを奪うという指揮官の狙いがあった。

 しかし、試合を通してカウンターを仕掛ける場面は何度かあったが、いずれも単発に終わった。全体を押し上げるには至らず、また相手の攻撃を耐える時間が続いた。少ない人数でフィニッシュまで持ちこめればいいが、後ろからのサポートや追い越す動きがなければ、まずチャンスの可能性が広がらない。さらにもう一つ、名波浩監督の言葉が興味深い。

「攻撃参加の素振りを見せないと、彼らは帰陣しないから」

 自分たちのスタイルに絶対的な自信を持ち、相手にボールを渡さないまま90分を終えようとする川崎Fの特徴が、「帰陣しない」という名波監督の言葉に集約されているように思う。引いて守るだけで何とかなるような相手ではないからこそ、磐田も時にはリスクを冒して飛び出していかなければならなかった。攻めの姿勢を見せることで、相手が戻らざるを得ない状況を作り出せたかもしれないのだから。

「前回対戦はスコアこそ0-1だったけど、やっぱりボール保持率はもちろん、押し込まれているエリアを見ても攻撃と守備のトレーニングみたいなゲームになってしまった。それを180度覆すのはさすがに難しいと思うけど、1割でも2割でも我々の攻撃のボリュームが加わればいいなと」

 2ndステージ第4節・川崎F戦に向け、名波監督はこう話している。結果的に磐田は川崎Fと1-1で引き分けた。開幕戦のサンフレッチェ広島戦は0-3で完敗し、続く大宮アルディージャ戦、ヴァンフォーレ甲府戦はドロー。大宮、甲府戦を連勝できれば良かったが思うようにはいかず、2ポイントの上積みにとどまった。

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