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「正当ではない結果など欲しくもない」。異端の監督、パコ・ヘメスの気高き魂【超攻撃的フットボールの美学】

シリーズ:超攻撃的フットボールの美学 text by 江間慎一郎 photo by Shinichiro Ema, Getty Images

質の悪いパフォーマンスで勝利することには断固として反対

――メッシやC・ロナウドでも、扱い方は変わらないのでしょうか?

P 変える必要はないだろう。さっき話した通りに、選手が求めるのは誠実かつ敬意を欠くことがない監督だ。

――あなたがもし代表監督に就任したとして、ワールドカップのような舞台でも戦い方は変わらないのでしょうか?

P リーガとワールドカップで、なぜ戦い方を変える必要がある? 試合は勝利を目指すものだろう? ワールドカップの初戦で勝ち点3を得られなかったとしても、次戦でも何も恐れることなく信念を貫かなければならない。

 私は結果に左右されるような監督にはなりたくないし、フレンドリーマッチで実践することをワールドカップでも変わらずに行うはずだ。質の悪いパフォーマンスや不当なPKで勝利することには断固として反対する。手にするにふさわしい勝利を求めていきたいし、正当ではない結果など欲しくもない。

――フットボール、映画、人生における最高の魅力は、リスクを冒して成功をつかむことにある。違いますか?

P 疑いの余地なく、ね。リスクを冒すことが成功の保証になるわけではないが、少なからずその助けにはなれる。私は飽きることが大嫌いだ。そのような感情に恐怖を感じるし、ベンチに座りながら飽き飽きしたものを見ていたくはない。監督と選手たちが飽きを感じるならば、チームはそこで息を引き取る。そう、死を迎えるんだよ……。

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