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代表 8年前

わずか1敗が致命傷に。強豪国も苦しむW杯欧州予選。イタリアはスペインと1枠巡る争い

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

W杯欧州予選は強豪国も苦戦。イタリアもイスラエルにあわやの展開

ヴェントゥーラ
イタリア代表のジャンピエロ・ヴェントゥーラ監督【写真:Getty Images】

 変えるリスクを取らないというのは、それはそれで賢明な判断である。だがヴェントゥーラ監督は、自分の色も出した。イスラエル戦のスタメンには故障でEUROを断念したマルコ・ヴェラッティの他に、ジャコモ・ボナヴェントゥーラやルカ・アントネッリなど本大会にコンテが呼ばなかった選手も入れた。

 サッカーにも若干手が入る。最終ラインを若干前に押し上げ、3バックにも積極的にパス回しに参加させていたのだ。コンテもレオナルド・ボヌッチを軸とした後方からの組み立てを重視していたが、それをさらに洗練させようとしていた印象だ。

 いざ試合になると、新選手の起用については当たった。ヴェラッティの展開から縦に出たアントネッリがクロスを放ち、それが先制点につながる。2点目のPKも、ミラン同様インサイドMFとして起用されたボナヴェントゥーラのドリブルからもぎ取った。

 しかし、2点のリードを奪ったからといってやり過ごせる相手ではなかった。イスラエルはアプローチを変えず、アグレッシブに攻めてくる。すると、新しいことをしようとした最終ラインからほころびを見せた。前半35分、ボールコントロールに手間取ったジョルジョ・キエッリーニが相手に詰められ、あっさりとボールを失う。それをカウンターで持って行かれ、最後はタル・ベン・ハイムに美しいループシュートを決められた。

 さらにそのキエッリーニは、不用意なファウルから2枚目のイエローカードを受け、後半早々に退場。そうなると試合の流れは完全にイスラエルペースとなり、押し込まれたイタリアはジャンルイジ・ブッフォンのセーブでなんとか失点を回避する展開になった。

 ある意味、格下相手にピリッとしないイタリアらしいパターンとも言えるが、ともかく彼らはあと少しで同点、そして逆転というところまで追い込まれていた。まさに、予選は簡単なものではないということの証明だった。

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