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代表 8年前

わずか1敗が致命傷に。強豪国も苦しむW杯欧州予選。イタリアはスペインと1枠巡る争い

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

イタリアはスペインと同組。わずか1敗が致命傷に

スペイン
イタリア代表はスペイン代表と同組。1枠の本大会出場権をかけて取りこぼしは許されない【写真:Getty Images】

 だがそんなイタリアは、最終的にはリードを守り切り、しかも追加点を加えて逃げ切っている。実はヴェントゥーラ監督は、数的不利にもかかわらずアグレッシブな采配を取ったのだ。アンジェロ・オグボンナを投入して3バックを維持する一方、代えたのは中盤のボナベントゥーラで前線の2トップは残した。

 右ウイングバックのアントニオ・カンドレーバが疲れて来れば、代わりに投入するのは同じく攻撃寄りのアレッサンドロ・フロレンツィ。そして最後の1枚も守備固めにとっておくどころか、裏抜けの得意なチーロ・インモービレを投入し追加点を取るために使った。

 そして後半40分、そのインモービレがロングボールに反応して裏へ抜け出し、狙い通りに強烈なシュートをねじ込んだ。

「退場者を出してから10分~15分の間に畳み掛けられた。リードを守ることを考えなければならなかったが、それ以上に攻撃を続けたかった」とヴェントゥーラ監督は語った。

 押し込まれたまま、守備一辺倒になるのはかえって良くないと考えたのだろう。とはいえ、勇気のある決断である。そして選手たちもその意図を理解し、ある程度は引きながらもカウンターからゴールを狙い続けるという意思統一を果たした。地力の差どおりの力を発揮するには、選手たちがチームとして機能するかどうかが重要なのだ。

 G組の予選1位通過は、イタリアとスペインとのマッチレースになることがほぼ確実だ。彼らのような強豪国にとっては他で取りこぼしを作らないことが重要だが、どこが相手であっても勝ち点3はチーム一丸で攻め切らなければ取れない。イスラエル対イタリアの一戦は、そんな現実を如実に表すものとなった。

(文:神尾光臣【ミラノ】)

【了】

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