オシムJの戦術的先進性。「日本サッカーの日本化」。可変システムとアジア仕様の使い分け【西部の4-4-2戦術アナライズ】

2016年09月14日(Wed)10時19分配信

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ
text by 西部謙司 photo Getty Images
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アジアカップ仕様のポゼッションスタイル

2007年アジアカップ、オーストラリア戦に挑んだ日本代表のスターティングイレブン
2007年アジアカップ、オーストラリア戦に臨んだ日本代表のスターティングイレブン【写真:Getty Images】

 オシムは実行しないほうを事前に多く話す癖がある。2つの可能性があるとき、どちらについても話すのだが、実際にはやらないほうを多く話す。その時点で迷っているのか、煙幕を張っているのかはわからない。アジアカップのときもそうだった。それまでの経緯から3人の併用はないと思われていたのに、フタを開けてみたらエキストラキッカーは3人いたのだ。アジアカップ時の状況もあっただろう。

 まず、準備期間はほとんどなし。大会前は集合しただけに等しく、フィジカルコンディションの調整はほぼゼロ。さらにグループリーグを行ったベトナムは共同開催国の中でも最も暑かった。運動量とハイ・インテンシティの戦術は無理。そこでボールポゼッションを重視して体力の消耗を避けたのだろう。3人のプレーメーカーを使った日本は、参加国中最高のボールポゼッションを記録する。時には70パーセントを超えていた。

 しかし、ポゼッションを優先したことで攻撃はスローダウンが多く、相手を包囲した後になかなか得点を奪えなかった。CBとアンカーの3人でのカウンター対処も難しく、準決勝でサウジアラビアに敗れる。3位決定戦でも韓国にPK戦で負けて4位に終わった。

 4年後に「アジアのバルセロナ」と呼ばれて優勝するチームの土台は、このときすでに出来ていた。07年は3連覇を逃してしまったが、いくつかの点で戦術的な先進性を持ったチームだった。

(文:西部謙司)

【了】

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