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日本代表 8年前

手倉森コーチ登用がハリルJにもたらす3つのメリット。日本人指導者が代表に入る必要性

text by 藤江直人 photo by Getty Images

A代表に「いい風を吹き込みたい」

 つまり、年内に行われる3試合で日本代表がつまずけば、ハリルホジッチ監督の解任を含めた荒療治を施さなければいけない状況に直面することも十分に考えられる。後任監督を想定しておくことが、イコール、JFAの技術委員会に求められるリスクマネジメントとなる。

 緊急事態だけに、日本サッカー界に関する知識のない外国人監督を起用するのは逆にリスクを伴う。その意味でも、代表監督に必要なS級指導者ライセンスをすでに取得している手倉森コーチの存在がクローズアップされてくる。

 アジア最終予選を戦っている最中に、日本代表の指揮官が解任されたケースは過去に一度だけ。1997年10月に加茂周監督が更迭され、岡田コーチが昇格した日本代表は苦しみながらも第3代表決定戦へと進み、イラン代表を岡野雅行の延長Vゴールで撃破した「ジョホールバルの歓喜」に結びつけた。

 このときも、それまでの軌跡を熟知していた岡田監督の“内部昇格”が、チーム内における混乱を最低限にとどめた。もちろんJFAとしてもハリルホジッチ体制でのロシア大会出場をバックアップしていくが、手倉森コーチの復帰でリスクマネジメントをも整えたことになる。

 ハリルホジッチ監督と選手たちの橋渡し役。リオデジャネイロ世代を熟知する兄貴分的な存在。そして、緊急事態に備えたリスクマネジメント。A代表に3つのメリットをもたらし、「いい風を吹き込みたい」と意気込む手倉森コーチは17日に視察するアントラーズ対ジュビロ磐田戦から、A代表のスタッフとしての活動を本格化させる。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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