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日本代表 8年前

日本代表候補に選出されたシュミット・ダニエル。期待の大型GKが秘める無限大のポテンシャル

text by 藤江直人 photo by Getty Images

ボランチにバレーボール部…知られざるシュミットの経歴

 合宿が始まる前日の16日。敵地フクダ電子アリーナで行われたジェフユナイテッド千葉戦で松本は3-0の快勝を飾り、クラブタイ記録となる「12試合連続負けなし」に12度目の完封劇で花を添えた。

 試合後の取材エリア。周りを幾重ものメディアに囲まれたシュミットは、サッカー人生で初めてとなる光景に「嬉しいことです」と声を弾ませながら、終わったばかりの90分間を振り返った。

「いつもやっていることを、同じようにやれたかなと思います。それが何かと言われると、すぐには思い浮かばないんですけど……前半に相手選手が退場したことで、試合運びが少し楽になったんですけど、そうした状況でもみんな気を抜くことなく、チャンスらしいチャンスを作らせることなく最後まで走り抜いた。その結果として無失点に抑えたことは今後へ、特に次の試合へ向けて絶対に生きると思う」

 図らずもシュミットが大きな注目を集めている状況に、田中が再び目を細める。

「こうやって代表候補に選ばれたからメディアは注目しているけど、俺はシーズンが開幕した直後からずっと言っている。開幕からいい経験をしているし、試合のたびに自分のミスをしっかりと克服して、次の試合に生かしているからね。その意味で性格もすごくいい。高さもあって足元の技術もある。これからの現代キーパーだよね。ウチにとっても素晴らしいことだし、これからは“候補”ではなく、本当の“代表”に選ばれる選手になってほしいよね」

 ゴールキーパーとしての経験値は、現時点ではまだまだ低いと言わざるを得ない。東北学院中学の3年生まではボランチだったが、体育の授業で素人にボールを奪われたショックで一時的にサッカーから離れ、長身を見込まれてバレーボール部に籍を置いたこともあった。

 しばらくしてサッカー部に復帰すると、ゴールキーパーの層が薄い事情もあって、ボランチと兼任でゴールキーパーのトレーニングも開始。東北学院高校に進学してから正式にコンバートされたが、名門・中央大学に進んでも4年生になるまでレギュラーを獲得できなかった。

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