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代表 8年前

ベトナム、2008年以来の東南アジア制覇へ。優勝へのカギは二つの“黄金世代”の融合

text by 宇佐美淳 photo by Getty Images

テクニックとアジリティで北朝鮮を圧倒

レ・コン・ビン
ベトナム主将のレ・コン・ビン【写真:Getty Images】

 さて、冒頭の北朝鮮戦である。序盤はフィジカルで勝る北朝鮮に苦戦。先制点を献上してしまったが、グエン・トゥアン・アインが個人技から同点弾を決めると、徐々にベトナムが持ち味であるテクニックとアジリティを発揮する。後半には、前述したHAGL勢が躍動。終盤に怒涛のゴールラッシュを見せて北朝鮮を突き放し5-2で勝利した。

 圧巻は1ゴール1アシストでマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたルオン・スアン・チュオン。所属クラブの仁川では、なかなか出番が巡ってこないが、Kリーグで1シーズン揉まれただけあって確かな成長の軌跡がうかがえた。

 肝心のグエン・コン・フオンは途中出場したものの、大きな見せ場は作れず、やや消化不良の内容。それでも、グエン・トゥアン・アインと交代でピッチに入った瞬間の歓声の大きさはこの日で一番大きく、その人気ぶりは相変わらず凄まじいものがあった。この試合では、若手に主役の座を奪われたが、FWレ・コン・ビンやMFファム・タイン・ルオンといったベテラン勢もきっちりとゴールを決めており、健在ぶりをアピールした。

 若手が台頭しつつある現代表チームについて、主将のレ・コン・ビンは、「2008年のAFFスズキカップ初優勝のときと比べても引けを取らない強力なメンバー」と評した。ベトナムにとって初の国際タイトルとなったスズキカップ2008では、20代前半でA代表のスタメンを張っていたいわゆる「08黄金世代」が活躍した。

 当時のメンバーで今も代表に名を連ねているのは、レ・コン・ビンとファム・タイン・ルオンのみ。ちなみに現代表のディフェンスリーダーであるチュオン・ディン・ルアットも同世代だが、8年前のスズキカップではメンバーから漏れている。

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