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Jリーグ 7年前

磐田、守備は機能も課題を露呈。指揮官が求めるボール奪取後の質。残留に向けて最終節へ

text by 青木務 photo by Getty Images

磐田の課題、奪った後のファーストプレーの質

磐田のトップ下に入っている川辺駿
磐田のトップ下に入っている川辺駿【写真:Getty Images】

「いかんせん奪った後のファーストプレーの質が悪すぎて、また守備、また守備、また守備と。それが最終的にストレスになって、体力も失ってしまったのかなと」

 指揮官曰く「昨シーズンの頭から言い続けている」ボール奪取後のクオリティの低さは、この日も露呈した。

 例えば28分のシーン。宮崎が相手のパスをカットし、ジェイ、アダイウトンとボールが渡る。しかし、ブラジル人アタッカーがキープしているところで浦和の選手たちに寄せられてボールを奪い返された。

 宮崎からジェイにパスが出た時点で、ジェイには3人のマークが来ていた。アダイウトンも赤いユニフォームに行く手を阻まれ、詰めてきた柏木陽介にかっさらわれることになった。

 せっかくマイボールにできても、すぐさま相手に回収されてしまう。浦和は攻守の切り替えが早く、磐田がボールを持ってもすぐに囲まれる場面が散見された。

 ただ、相手のプレスがない状態でのミスもあった。これでは攻撃に移ることはできず、ましてやゴール前で決定的なシーンなど作れるはずもない。

 さらに、ボールを奪った後のチョイスが常に縦一辺倒になってしまったことも、浦和にとっては守りやすかったのではないか。

「後ろで奪った後、トップ下やトップを最初に見てくれると思う。そこは相手も狙ってくると思うからシンプルにやるのも必要だし、自分が起点になって時間をかけるというか、相手を戻させたりファウルを受けるなり、そういうのが必要かなと。そうなれば相手も焦れてくると思う」

 試合前、トップ下の川辺は今節の展望を語った。この言葉のように、前線にボールを入れること自体は間違っていない。浦和は攻撃に人数をかけており、磐田がスピード感を持ってゴールに迫ればチャンスの可能性は広がっただろう。

 しかし、あれだけ押し込まれる展開では、ほとんどの選手が自陣深くまで下がらざるを得ない。そして、なるべく高い位置で待とうとしたジェイと川辺は相手に監視されていた。

 目先を変えて横パスを挟んでも良かったが、そうしたフォローの動きはなく、ジェイや川辺がしっかりボールを収めるのを前提に、もしくはそう信じて周囲は動き出していた。パスが繋がればビッグチャンスになったかもしれないが、彼らは複数の相手に囲まれ身動きが取れない。攻撃へスムースに移ることはできず「また守備、また守備、また守備」(名波監督)という悪循環に陥ってしまった。

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