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日本代表 7年前

【識者の眼】柏木・大島ではなく井手口・永木を選んだ理由。ハリルが描く理想のボランチ像とは?

text by 河治良幸 photo by Getty Images

ハリルホジッチがボランチに求めるスタンダード

 ボールを奪い、攻撃を縦にスピードアップさせる流れを効率的にできる選手が基準であり、そこに攻撃面の特徴が加味されて組み合わせが決まるということだ。本質的にゲームメーカーであっても、指揮官の要求するスタンダードをまずクリアできなければメンバーに残っていけない。

 そして攻撃もベースは縦のスピードアップだ。もちろん何でもかんでも縦に攻めるということではなく、縦志向の攻撃という意味だ。そのコンセプトを外すことなく、時にタメや揺さぶりを入れていくなら許容範囲だろう。しかし、ベースではないのだ。

 これまでの構成では“デュエル”を発揮してのボール奪取や攻撃における縦のスピードアップなど、ボランチで優先的に求められるスタンダードの部分に国際基準で課題がある。バランスワーカーの長谷部や永木との補足関係を引き上げる意味でも、今回は井手口にチャンスが与えられるということではないか。それはアジア最終予選を戦いぬくことはもちろん、世界を見据えたビジョンである様にも思われる。

 オマーン戦は高い位置で試合を進める時間が長くなるだろうし、サウジアラビア戦でも主導権としては日本が握るかもしれない。高い位置から攻撃を仕掛けるシチュエーションは多くなるが、ボールをワイドにつなぐところは基本的に吉田麻也らバックラインが担うことになるだろう。

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