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酒井宏樹が語る、欧州の守備文化。ドイツもフランスも「ドリブラーに対して下がらない」【インタビュー】

text by 小川由紀子 photo by Yukiko Ogawa,Meryll Vian / OM.net 2016,Getty Images

マルセイユはシャツを着てみたいチームだった

10月からマルセイユの監督を務めているリュディ・ガルシア。松井大輔がル・マンに在籍当時、同クラブの監督を務めていた
10月からマルセイユの監督を務めているリュディ・ガルシア。松井大輔がル・マンに在籍当時、同クラブの監督を務めていた【写真:Getty Images】

―――それでも開幕戦からPSG戦まで全試合で先発出場。こうなることは予想していましたか?

 まずはこのクラブに入りたいな、と思っていたので。試合に出られることが選手にとってはもちろん一番いいことですけど、それが実現するかどうかはわからなかった。ターンオーバー制のひと枠に使われるのかな、とかも考えていました。

 でも、一度はシャツを着てみたい有名な歴史のあるチームなので、そういうところにすごく惹かれましたし、とにかくマルセイユに来たかったですね。

―――結果的にプレシーズンのテストマッチから先発で出ずっぱりです。

 それは良かったです。でもオーナーも変わりましたし。現時点で右サイドバックは自分だけですが、冬(のメルカート)はどうなるかわからない。そういう意味でも今しっかり良いパフォーマンスをしないといけないと感じますね。

―――突然の監督交代がありました。監督が変わるとチーム状況も変わりますが、不安はありましたか?

 それはしょうがないと思わないと次に進めない。(監督の構想に)フィットしないのも実力だと思います。フィットできるのが実力なので。監督が変わるとすべてが新しくなるし、また学び直さないといけないので、慣れるまでは難しいだろうな、と思ってます。緊張感はあるし、そういう意味での疲労もあるだろうな、とは思いますね。

 僕は外国人で、ポンっとここに来てるから、より周りや人を見ないと大変です。監督が言っていることを理解するのに、まず言葉の上で他の人より不利で、その人たちと同じくらい理解するには、彼らよりももっと集中しないといけない。だから普通の人の練習よりも2倍くらい疲れるんです(苦笑)。

―――ガルシア監督にも使ってもらえる、という自信は?

 そこはわからないですね。自分がピッチに立ったときのフィーリングだったり。どこの世界を探しても、1年中コンスタントに良いプレーができる選手、というのはいないわけなので、その波の上の部分で監督とフィットできることが大事で、今(の自分)がそうなのか、そうじゃないのかはまだよくわからないですけど、とりあえず監督が何を求めているかを探していかないといけない。

 その意味でもほんと、フランス語を早く覚えたいです。フランス語がわかる選手でも、最初は監督にとって何が良くて何が悪いかがわからなくて手探りの状態だと思うんですけど、僕はフランス語がわからないから、まずそこからですよね。

 もちろん、後で英語で訳して言ってくれますけど、その瞬間でわかっていないとピッチ上でちょっと困る。ピッチで言われるのか、練習が終わったあとに言われるかでは違うので。

 でも監督は、ちゃんとしてほしい場面は「ここはこうなんだ」ときつく言ってくれるので、あやふやにしないところはいいな、と思いました。

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