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酒井宏樹が語る、欧州の守備文化。ドイツもフランスも「ドリブラーに対して下がらない」【インタビュー】

text by 小川由紀子 photo by Yukiko Ogawa,Meryll Vian / OM.net 2016,Getty Images

「守り方、試合の進め方が日本とは全然違う」(酒井宏樹)

マルセイユのトレーニングセンター
マルセイユのトレーニングセンター【写真:Meryll Vian / OM.net 2016】

―――フランス語は勉強中?

 クラブが用意してくれた先生から、週に何回か個人教授をしてもらっています。(※同時期に入団したスロバキア代表DFフボチャンを教えるスロバキア人の先生から英語でフランス語を習っている)

―――練習時には通訳の方がサポートを?

 試合前のミーティングのときは監督がそのまま英語でしゃべってくれたり、ミーティングが終わったあとで、同じ映像を見ながら英語ができるフィジカルコーチが通訳してくれますね。

 でもふだんの練習で英語は使わないので、読み取るしかないですね。あとは英語のできる選手に聞いたりとか。

(監督が変わっても)やっていることはサッカーなんですけど、細かいところは変わりますし、今度の監督はけっこう戦術家なので。

 そういう意味では僕が理解できているのか向こうも不安だと思いますし、僕ももっと理解しないといけないので、そこに対しての意欲というか、取り組みをしないといけない。それをピッチで表現できるかどうかですね。

―――先ほど、マルセイユは一度はシャツを着て見たいクラブだったとおっしゃっていましたが、その憧れのクラブの練習場を最初に訪れたときの印象は?

 初めて来たとき、やっぱりビッグクラブだな、と思いました。大きいトレーニングセンターで、クラブハウスもきれいで、サッカーグラウンドもユースを入れたら4面くらいあって、壁に描かれたペインティングだとか(練習グラウンドを囲む壁にレジェンドたちの似顔絵が描かれている)ひとつひとつに雰囲気があるなって。すごいな、と思いましたね。

―――マルセイユでプレーしていて、フランスのサイドバックはこれまでプレーしてきたリーグと違うと感じる点はありますか?

 日本とヨーロッパは、守り方の考え方とか試合の進め方が違うと感じますね。守備の仕方だったり、チームとしての試合の進め方がちょっと違うなと。ドイツとフランスでも多少の違いはありますけど、とくにヨーロッパと日本とは違う感じです。

 代表的な例として、ヨーロッパではドリブラーに対して下がる、という場面はまったくないですね。ドイツもフランスも。

 たとえば日本だったら、学(齋藤)がハーフウェイライン付近でボールを持ったら、そこからペナルティエリア付近までそのまま下がっていく。「遅らせる」と僕らはよく言うんですが。もちろん相手が学だというのもあるんですが、遅らせる必要のない場面でもそうすることがよくある。

 こっちなら、まず一人がガッと行って、学が抜いたところへもう一人がサポートでついているから、そこのスペース内だけで絶対に相手の動きをストップする。ファウルを使ったりして。

 ハーフウェイラインの近くとペナルティエリアの近くでは、同じファウルでもイエローカードをもらう確率も違うし、フリーキックになっても危険性が違いますからね。

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