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バルサが“ポゼッションを捨てた日”。レアルの守備と「クラシコ」が示すサッカーの新時代

 世界中が注目するバルセロナとレアル・マドリーによるクラシコ。カンプ・ノウで行われた今回の一戦は、1-1のドローに終わった。互いに守備的なプランで臨んだこの大一番は、サッカーが新たな時代へと突入したことを告げていた。(文:海老沢純一)

text by 海老沢純一

守備で大きく貢献した攻撃のタレント、モドリッチ

ルカ・モドリッチ
守備で貢献するルカ・モドリッチ【写真:Getty Images】

 およそ10年前には、ノーパッドのジャケットが主流だったが、現在では肩パッド入りのジャケットを着こなす男女の姿も数多く見かける時代となった。

 ファッションはサイクルであると言われるが、サッカーも同様にサイクルを繰り返す。かつて、ゾーンプレスが一斉を風靡し守備戦術がクローズアップされた時代を経て、近年では“攻撃的サッカー”が人々の憧れとなっていた。

 各国リーグ戦の1試合で世界中から最も大きな注目を集める「エル・クラシコ」では、巨額によって集結した世界トップのアタッカーたちが、その力を見せつけるために意地とプライドを持って攻撃を繰り出し合った。

 しかし、2016年も12月に入った今、「エル・クラシコ」もサッカーが新たな時代へと突入したことを告げていた。

 バルセロナのホーム、カンプ・ノウで行われた今回の一戦で、アウェイのレアル・マドリーはやはり守備を重視したプランでキックオフを迎えた。昨シーズン途中からチームを指揮するジネディーヌ・ジダン監督は、決して無謀に突撃することをせず、状況に応じて守備を固めることもためらわない監督である。

 この試合では、マドリーの中盤の人員で最も守備力のあるカゼミーロが負傷からの復帰直後だったこともありベンチスタート。そのため、攻撃面で世界有数のクオリティを持つルカ・モドリッチに守備的な役割を与えた。

 主に4-3-3-を採用したマドリーの中で、モドリッチはアンカーを務めた。コバチッチとイスコのインサイドハーフの下で守備に力を注ぎ、マドリーに安定感を与えた。

 さらに、モドリッチの同胞コバチッチの貢献度も高かった。

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