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鹿島を勢いづけたレアルの怠惰。最も優れていたのは疑いなくベンゼマ【スペイン人記者の目】

シリーズ:E・オルテゴの戦術眼 text by エンリケ・オルテゴ photo by Getty Images

役割を理解していなかった両サイドバック

試合途中からカゼミーロをDFラインに下げ3バックを採用したレアル・マドリー
試合途中からカゼミーロをDFラインに下げ3バックを採用したレアル・マドリー

 ジダンにとってはトップ下よりもセンターハーフの方が優先順位が高く、1-4-2-3-1ではなくお気に入りと見える1-4-3-3のシステムを再度使用した。そのシステムにおいてカゼミーロは、両センターバックの護衛人、両サイドバックの水の運び人の役割を担った。

 つまり、南米で膾炙するところのボランテ・タポン(蓋となるボランチ)である。フランス人指揮官は、彼がピッチ上にいればクロース&モドリッチがポジションを上げることができ、より攻撃に専念できると得心していた。

 ジダンはカゼミーロの守備能力に全幅の信頼を寄せており、システムを3バックに変える際にも選手交代を行うことなく、彼をセルヒオとヴァランの間に据えている。ただ9月中旬から2カ月の戦線離脱を強いられていたこの“カゼ”のフィジカルは、ベンゼマほど完璧ではなかったのだが……。

 カゼミーロの状態を糸口として、マドリーのネガティブだった面にも触れていこう。前述のようにマドリーは試合中に3バックへとシステムを変えたが、これはチームのハードディスクに書き込まれていたものだったようだ。

 鹿島が2点目を記録した直後、ジダンはマルセロを呼んでシステムを変更することを伝えた。そこで生じた変化は、S・ラモス、カセミロ、ヴァランがセンターバックで、カルバハルとマルセロが相手陣地までポジションを上げるというものである。

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