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アジア 7年前

全北ACL除外、提訴も逆転は不可能か。同じ現代の“兄弟クラブ”が棚ぼたも

text by キム・ドンヒョン photo by Getty Images

棚ぼた出場に喜ぶ蔚山。全北と同じ現代財閥系統の系譜

蔚山現代
棚ぼたでACL出場の可能性が高い蔚山現代【写真:Getty Images】

 物理的な期限も全北に不利な状況だ。はく奪決定を覆すためには、大会出場選手登録期間より前にCASが全北の勝訴を発表しなければならない。ACLプレーオフは2月7日にスタート。2週間弱の時間内にすべてのプロセスがなされるには時間が足りない。全北の場合はACLグループステージ開始にも間に合わない可能性が高い。

 この判決でほくそ笑むクラブがある。全北と同じように運営・親会社が現代財閥の系譜である蔚山現代だ(全北は現代自動車、蔚山は現代重工業)。昨季まで元日本代表MF増田誓志が所属し、ACL経験も豊富な強豪クラブである。蔚山はいきなりの出場権獲得により「いろいろ忙しくはなったが、うれしい気持ちで大会に備えている」と喜びの色を隠していない。

 ただ、この棚ぼた決定は想定内だ。クラブ関係者は「AFCの決定を待つべきで、細かいところは準備できなかった」としながらも「ある程度、予想はしていたしACL出場経験もある。これらを活かしてしっかりと準備したい」と明かした。現在蔚山はスペインでキャンプ中。2月10日まで滞在しKリーグに備える予定だったが、ACL出場となったことで今月末の帰国を決定した。2月7日、蔚山のホームでACLプレーオフを行う。

 キャンプ終了だけでなく、選手補強にも拍車がかかる。ACL選手登録に間に合わせるように選手探しを早めるという。

 増田誓志も中東に移籍したため、現在埋められている外国人選手枠は3枚(アジア枠1枚を含む)。合意済みと噂されるオランダ出身の長身FWヘンク・フェールマン(ヘーレンフェーン所属)との契約を進め、アジア枠の選手を含む残りの枠をACLで競争力を持つ選手で埋めるという。兄貴分の恥を“弟分”が晴らすことができるのか。Kリーグの名誉も蔚山の足にかかることとなった。

【全北現代・審判買収事件】
2016年9月:スカウトが審判へ賄賂を渡していたことが発覚。勝ち点9のはく奪と1億ウォンの罰金が決定
2016年11月:Kリーグで2位に、ACL出場権獲得。この年のACLは優勝
2017年1月:AFCが全北のACL出場権をはく奪。クラブはCASに提訴

(取材・文:キム・ドンヒョン【城南】)

【了】

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