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マンC、再び守備の脆さ露呈。理想を追い求めるペップが見えていない“現実”

text by 小澤亮太 photo by Getty Images

シティの弱点が露呈したエバートン戦

 グアルディオラ監督は後方からのビルドアップを重視するためにシーズン序盤はダビド・シルバを中盤の底で起用し、63億円を費やしてCBのジョン・ストーンズを獲得。イングランド代表の正GKであるジョー・ハートを放出してまでブラーボをバルセロナから引き抜いた。

 0-4で完敗した21節エバートン戦では、高い位置からのプレスで縦パスを奪われて先制点を献上。3失点目は18歳のトム・デイビスに右サイドを突破され、とどめの4失点目はストーンズがクリアボールをシェイマス・コールマンに当ててしまい、19歳のアデモラ・ルックマンにゴールをプレゼントしてしまった。

 失点をGK1人の責任にすることはできないが、ベンチにはウィリー・カバジェロという優れたGKもいるのだから、起用も考えるべきかもしれない。例えば、ユナイテッドはダビド・デ・ヘアの移籍初年、プレミアリーグのフィジカルコンタクトに苦しむデ・ヘアを時々ベンチに置き、前年に加入したアンデルス・リンデゴーアを起用していた。

 そして、監督が目指すべきスタイルを曲げずとも、勝ち点を落としたリバプール、エバートンやトッテナムといった前線からのプレスに定評のあるチーム相手にはポゼッションにこだわらずに“ボールを捨てる”、ロングボールを蹴るということも必要になる。そこからプレスを掛けて二次、三次攻撃を行うことも可能なはずだ。

 エバートン戦終了後のグアルディオラ監督の表情は苦悩に満ち溢れていた。手で顔をぬぐい、記者からのインタビューにも覇気がなかった。フェルナンジーニョが出場停止となったこの試合ではパブロ・サバレタを中盤の底で起用したが、時折見せるグアルディオラ監督の“奇策”とも取れる采配が決していい方に転んでいないことも事実だ。アウェイでのCLバルセロナ戦ではエースのセルヒオ・アグエロをベンチからスタートさせたり、3バックを採用したりもした。

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