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“黒船”DAZNはJリーグに何をもたらすのか? CEOが描くビジネスモデルと10年間の長期ビジョン【独占インタビュー】

今季からJリーグと放映権契約を締結した「DAZN」。10年間総額2100億円という大型契約で日本に上陸した“黒船”は、果たして今後のJリーグに何をもたらすのだろうか? 「DAZN」を提供するパフォーム・グループのジェームズ・ラシュトンCEOに、ビジネスモデルや10年間のビジョンを聞いた。(インタビュアー:植田路生/取材日:2017年1月20日)

text by 植田路生 photo by Editorial Staff

「Jリーグは世界と比較しても競争力がある」

ラシュトン
パフォーム・グループのジェームズ・ラシュトンCEO【写真:フットボールチャンネル編集部】

――Jリーグの放映権を獲得しましたが、昨年は実際にスタジアムに行ってJリーグをご覧になりましたか?

「大阪で、そしてまた浦和レッズの試合などを観ました。サッカーの質の高さのみならず、ファンの情熱に感銘を受けました。特にシーズン終盤で優勝がかかっている状況だったので熱気がありました。

 今シーズン開始に向けて、各クラブを訪問させていただく機会を楽しみにしています。また、日本の様々な地域を訪れてみたいと思っています」

――DAZNで放送することによってJリーグのプレー、サッカーのクオリティーがどのように変わっていくことを望みますか?

「私たちはこれから放送を担当するパートナーとしてJリーグのサッカーのスタイルを変えて欲しいとは思っていません。もうすでに統計でも表れていますが、日本のJリーグは世界と比較しても競争力があると思います。

 日本はポゼッションに重きを置いている素晴らしいプレースタイルなので、それを変えないで欲しいと思います。むしろこれから私たちのサービスが提供されることによって、サッカーの素晴らしさをより伝えていきたいですし、Jリーグのヒーローたちのストーリーも伝えていきたい。

 とはいえ、これからこのJリーグに投資をしていくわけですから、その資金が入ることで日本の優秀なプレーヤーがヨーロッパに移籍することなく、Jリーグに留まってプレーする人が増えたり、あるいは逆に海外から優秀なプレーヤーを獲得し、そしてJリーグのスタイルを維持してくれれば、なお素晴らしいと思います」

――確認なのですが、以前から中継にはCMは一切入らないと仰っていましたが、それは今後10年間変わらずということですか?

「私たちとしてはコマーシャル広告などをDAZNの中継には入れたくないと考えています。OTT(※)の有料サービスにおいては、やはりブランドが中心であるべきだと考えております。ですから、基本的には広告やスポンサーはなしで当面進めたいと思っております。

 ただ、やはり『Never』と言うのは10年という長い期間を考えると断言するのは難しい、断言するべきではないと思っております。もちろん、もし広告サービスを入れるとしても、従来型のコマーシャルが間に入るというよりも、『今回のコンテンツはどこどこのスポンサーである』という入れ方になると思います」

(※)「Over The Top」の略。ネット回線を通じて動画や音声などのコンテンツを提供する事業者のこと

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