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Jリーグ 7年前

“黒船”DAZNはJリーグに何をもたらすのか? CEOが描くビジネスモデルと10年間の長期ビジョン【独占インタビュー】

text by 植田路生 photo by Editorial Staff

全リーグの放映権取得は…「ご期待ください」

ラシュトン
Jリーグは昨年7月にDAZNと10年間総額2100億円の大型放映権契約を締結した【写真:フットボールチャンネル編集部】

――株主の方々はどのような要求がありますか? 例えば、3年で数字を達成してくれ、5年で数字を達成してくれ、あるいは10年間でこれだけといった何か具体的な要求はありましたか?

「長期的な価値のどういう尺度を取締役会に対して提案しているかというのは、機密情報になるので詳細を共有することはできませんが、私どもが株主と約束しているのは中長期的な見通しについてです。

 取締役会が定期的にありまして、そこでは財務に関して、また非財務の情報についても取締役会と共有していますが、本件の取り組みについては2、3年という期間ではなく、5年、7年、10年という期間で検討しております」

――今回10年間で2100億円という大きな契約でしたが、単純に2100億を10年で割ると1年間で210億円になるのですが、Jリーグの発表では今年から3年間は210億円よりも少ない金額でした。これは最初から決まっていたことなのか、それとも加入者の状況をみて決めたのかどちらでしょうか?

「確かに数字は合っています。21億ドルで210億円。放映権の交渉においては最初よりも後の方が高く傾斜配分としてなっているんですね。それは通常の慣行であって、また権利保有者にとっては延長のための再交渉をする際に一番高いところをベースに協議できるので、より望ましいと考えております」

――それは御社にとって望ましい?

「双方にとってです。我々にとっても最初は少なく、そして後にかけて傾斜配分で高くなるというのは、徐々にビジネスを拡大していくという流れに沿っている。Jリーグは最後の方になってより高い金額が傾斜配分されるので、そうなると延長の再交渉をする際には高いベースで協議できるので、双方にとって有利です」

――DAZN、スカパー!、WOWOW、スポナビライブの全部を契約して、金銭的な負担が大きくなっているユーザーもいます。DAZNが全部のリーグの放映権を取得するプランはありますか?

「努力しています。Jリーグを獲得したのは最後ではなく始まりです。これからも日本において有力なコンテンツをどんどん追加していきたいと思っていますので、ご期待ください」

(インタビュアー:植田路生/取材日:2017年1月20日)

【了】

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