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アトレティコ、バルサを窒息させるも、数的不利解消で蘇生を手助け。欠けていた決定力【オルテゴの戦術調理場】

7日、コパ・デル・レイ準決勝セカンドレグ、バルセロナ対アトレティコ・マドリーの一戦が行われた。ホームで行われた第1戦を1-2で落としたアトレティコは、大胆な姿勢を見せバルセロナを相手に何度も決定機を作ったものの、決勝進出を逃すこととなった。戦術分析記事で人気を博すスペイン・マルカ紙のエンリケ・オルテゴ氏は、アトレティコには最重要の要素が欠けていたと指摘する。(文:エンリケ・オルテゴ【スペイン】、翻訳・構成:江間慎一郎)

シリーズ:E・オルテゴの戦術眼 text by エンリケ・オルテゴ photo by Getty Images

追い詰められたアトレティが見せた大胆さ、欠けていたのは決定力

アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督
アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督【写真:Getty Images】

 7日に行われたコパ・デル・レイ準決勝セカンドレグでアトレティコ・デ・マドリーが見せたパフォーマンスは、確かに然るべきものであった。ファーストレグを1-2で落としていたのだから、あれだけ勇敢になることを義務付けられていたと言っていい。

 もし違うプランを用意していたならば、それは臆病と形容されていたはずだ。シメオネが率いるここ数年のチームを概括すれば、どのようなライバルも無敵ではないと考えられるのだから。

 各ラインを狭めてコンパクトにまとまり、高い位置からプレッシングを仕掛けながら前へ前へと迫り出す……。アトレティコはそうして敵陣地のスペースを最大限埋めて、前半の大部分でバルセロナを上回った。しかし、彼らには一つの問題があった。この良質な戦術及びメンタリティーがありながらも、ゴールという最重要の要素が欠けていたのだ。

 試合開始から30分まで、アトレティコはボールを確保しながら容易に相手ペナルティーエリアに到達していた。けれどもカラスコ、サヴィッチ、コケ、ゴディンが決定機を迎えると、その都度シレッセンに強烈な存在感を放たれている。この状況はシメオネを思索させるのではなく、ただただ焦燥感を募らせるものだった。

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