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アトレティコ、バルサを窒息させるも、数的不利解消で蘇生を手助け。欠けていた決定力【オルテゴの戦術調理場】

シリーズ:E・オルテゴの戦術眼 text by エンリケ・オルテゴ photo by Getty Images

基本手段であるボールを欠いたバルセロナ

 そう、キックオフからの30分間は、アトレティコの狙い通りに事が運んだ。前線ではフェルナンド・トーレスがピケ、グリーズマンがウンティティ、中盤ではサウールがアンドレ・ゴメス、ガイタンがラキティッチ、コケがデニス・スアレス、サイドではフィリペ・ルイス、フアンフランがそれぞれセルジ・ロベルト、ジョルディ・アルバにプレスをかけて、バルセロナを窒息させた。

 バルセロナのゴールキック時にその圧力は一層強まったが、その狙いは彼らのショートパスによる展開を阻止し、ピッチ中央を使わせないことにあった。

 負傷から復帰したばかりのブスケッツ、イニエスタをベンチスタートとしたバルセロナは、そのプレーの基本手段となるボールを欠いていた。30分を過ぎるまでは相手陣地で攻撃を展開できなかったが、カンプ・ノウという舞台においてはじつに珍しいことである。

 ただルイス・エンリケが、リードを得ている状況でリスクを冒すことを嫌ったのは明らかだった。それは負傷明けのブスケッツ&イニエスタを先発させなかったことや、出場停止のネイマールの代わりにアルダ・トゥランを起用して、そのシステムを普段の1-4-3-3から1-4-4-2に変更したことからもうかがい知れる。この日のチームには相手の出方を待ち、なおかつ主導権を与えてしまおうという意図が感じられた。

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