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日本代表 7年前

酒井宏樹、名門マルセイユで先発定着の秘訣。欧州内のステップアップで掴んだチャンス【海外組の真価~日本人選手の現在地】

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

他所と比較にならないほどプレッシャーのきついマルセイユ

マルセイユは熱狂的なサポーターが多いことで知られ、プレーする選手は強烈なプレッシャーを受けることになる
マルセイユは熱狂的なサポーターが多いことで知られ、プレーする選手は強烈なプレッシャーを受けることになる【写真:Getty Images】

“居場所がある”

 ここ最近、マルセイユを取材する現地記者からの酒井評で聞かれるのは、いつも同じ、このセリフだ。選手評にはすこぶる厳しいラ・プロヴァンス紙のマリオ・アルバノ記者は、シーズン序盤は酒井について好評価を口にすることは稀だったが、最近では「サカイにはいまやマルセイユに居場所がある。PSG相手の試合でさえ光るプレーを見せていた。十分にリーグアンで通用するレベルの選手だ」と当たり前のように答える。

 いまや酒井宏樹は、サポーターや報道陣から、マルセイユの先発イレブンに名前があって当然、と思われる存在になった。

 酒井本人は、「ここに居場所があるなんて思っていないです。居場所がないとダメだ、という危機感をもってやっている状態」だと話す。

 しかし同時に、自分がいなければ、という自覚もある。3月1日のフランス杯ラウンド16、対モナコ戦では、5バックの右サイドでプレーし、攻守両面で莫大な運動量と激しいボディコンタクトが求められた。カベラが決めた2点目をアシストするなど結果も出したが、フルタイム終了直前に古傷の太ももに違和感を覚え、延長戦突入後の97分に自ら退いた。

「もうちょっとやりたかったですけど、(体が)壊れてしまうのが一番怖いんで。でも次(4日後のロリアン戦)は大丈夫です。明日になれば問題ないので、どんどん動かして……」

『1試合ダメなプレーをすればサッカー選手人生が終わる』と言われるほど、フランス国内でもほかと比べようがないほど選手へのプレッシャーがきつく、フランス人選手でも苦労するといわれるマルセイユ。ここで、アジア人選手で1年目にしてレギュラーポジションを確保しているというのは、実際すごいことだ。

 酒井宏樹には、ヨーロッパリーグ出場圏内を目指すマルセイユの勢いに乗って、このまま怪我なくシーズンを戦い抜けてほしい。

(取材・文:小川由紀子【フランス】)

【了】

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