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レスターが回帰した「ファイトボール」。相手にフットボールをさせない岡崎慎司の存在【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

チームを支えた岡崎慎司の献身。必然だった2つのゴール

岡崎慎司
岡崎慎司はおよそ60分間懸命に走り回り、レスターの“ファイトボール”を支えた【写真:Getty Images】

 セビージャがファイトボールをフットボールに変えられなかった要因のひとつが岡崎慎司の存在だ。プレッシャーをかけ、球際で体を張り、難しい体勢でも着実に味方へボールをつないでいた。

 レスターの圧力がフィールドを支配しはじめた26分、FKからウェズ・モーガンの先制点が決まる。ハイクロスが抜けてきた場所にいたモーガンのシュートは偶然当たっただけだが、この時間帯に押し込んでいたレスターがセットプレーを得たのは必然だった。

 後半開始から、セビージャのホルヘ・サンパオリ監督は2枚替えを決断する。右SBをガブリエル・メルカドからマリアーノへ、右サイドMFのパブロ・サラビアをステバン・ヨベティッチに交代させた。

前半のセビージャは4-2-3-1のフォーメーションだった。ステベン・エンゾンジとビセンテ・イボーラを守備的MFに配し、右SBに攻撃力のあるマリアーノより守備の強いメルカドを先発起用したのは、レスターのホームでの勢いを警戒していたからだろう。

 しかし、先行されたことで勝ち抜けには点を取らなければならなくなった。後半から空中戦に強いイボーラをトップ下に上げて、中盤でダイヤモンド型を組む4-4-2に変更する。

 後半はセビージャがボールを支配して押し込む。もともとファイトボールはその性質上90分間はもたない。53分にはセルヒオ・エスクデロのミドルシュートがバーを叩く。ところがその直後にレスターの2点目。岡崎のシュートの跳ね返りを拾ったリヤド・マフレズがハイクロスを放り込むと、クリアボールがほぼ正面にいたマーク・オルブライトンに渡り、左足で決めた。

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