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清武も獲得、欧州屈指の敏腕スカウトとセビージャの離別。約200億円の黒字生んだモンチ伝説

text by ロシオ・ゲバラ photo by Getty Images

最も完璧だった取引はダニエウ・アウベスの獲得

セビージャでプレーした後、バルセロナへ移籍したダニエウ・アウベス
セビージャでプレーした後、バルセロナへ移籍したダニエウ・アウベス【写真:Getty Images】

 最も困難な取引のひとつだったガメイロの獲得には涙を流した。最も完璧だった取引だと彼が言うのはダニエウ・アウベスの獲得だ(無名だった選手を80万ユーロで獲得し、3500万ユーロ+フェルナンド・ナバーロという条件で売却することになった)。デ・ヨングやファン・ペルシ、マルセロなど、あと一歩で逃した補強には悔いも残している。

 サッカーにおいても人生においても、彼が最も影響を受けた人物はビラルドだという。アルゼンチン人指揮官が率いていたセビージャにおいて、当時GKだった彼がベンチで監督の隣に座って丸々1シーズンを過ごしたのも無駄ではなかった。

 ビラルドが「踏め、あいつを踏め!」と叫んだ有名なエピソードの際にも、モンチはリアソールのベンチで監督の左側に座っていた。2人にはどこか共通している部分があり、どちらも全てをコントロール下に置くことを好んでいる。

 セビージャで人生の半分以上を過ごしてきたモンチには無数の逸話がある。

 チームメートとして過ごしたマラドーナとの関係もその一部だ。2人がセビージャの町中を歩いていた時、モンチはロレックスの模造品を腕につけていた(それ以上の余裕はあまりなかった)。

 ペルーサ(マラドーナの愛称)が彼に向けて「良い時計じゃないか」と言うと、モンチは模造品だと答えたという。「イビサ島で5千ペセタだったのさ」と。このことを忘れなかったマラドーナは、彼が再びフェイクの時計を身に着けずに済むようにカルティエを贈った。モンチは今でもそれを持ち続けている。

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