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清武も獲得、欧州屈指の敏腕スカウトとセビージャの離別。約200億円の黒字生んだモンチ伝説

text by ロシオ・ゲバラ photo by Getty Images

昨夏には日本代表MF清武弘嗣も獲得

セビージャでのプレーは半年ほどになってしまったが、モンチに才能を見出された清武弘嗣
セビージャでのプレーは半年ほどになってしまったが、モンチに才能を見出された清武弘嗣【写真:Getty Images】

 ジュリオ・バチスタに対しては、呼び名を変えさせたこともあった。「ラ・ロカ(岩)」と呼ばれていた彼のことを、モンチはある会見で間違えて「ラ・ベスティア(野獣)」と呼んだ。その呼び名が定着したバチスタは2シーズンで50ゴールを決めることになった。

 最初に獲得した選手はGKのアントニオ・ノタリオであり、最後に獲得したのはワルテル・モントーヤだった。今シーズンは清武弘嗣も獲得し、彼はセビージャで初めてチャンピオンズリーグに出場した日本人選手となったが、数ヶ月で去ることになってしまった。

 スポーツディレクターという仕事は運にも左右されるものだとモンチは言う。その仕事と手腕は、次に彼をローマへと導くことになる。

 フランスやイングランドからのオファーもあるが、彼が最も惹かれているのはイタリアのプロジェクトだ。48歳での新たな挑戦となる。心機一転してゼロからスタートし、もう一度限界を越えるための挑戦だ。それを可能とする者がいるとすれば、セビージャの夢を築き上げたモンチに他ならない。

 ネルビオン(セビージャの愛称)では一つの時代が幕を閉じる。彼はきっとまた戻ってくるだろう。血を忘れはしないものだ。だが今は、彼の不在があまりにも惜しまれる状況とならないことが願われている。

(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ/マルカ】、協力:江間慎一郎)

【了】

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