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ユーベが突いたバルサの弱点。脆弱なサイドの守備と不安定なセンターライン

ユベントスは現地時間11日、チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝の1stレグでバルセロナと対戦し、ホームで3-0の先勝を収めた。ベスト16ではパリ・サンジェルマンに奇跡的な突破を果たしたバルセロナを相手にしたユベントスだったが、マッシミリアーノ・アッレグリ監督も「バルセロナの弱点を研究した」と語っていたように、緻密な戦術が凝縮された一戦となった。(取材・文:神尾光臣【トリノ】)

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

ディバラがあっさりと追加点。ユーベ、バルサに3-0の先勝

ディバラ
前半で2得点を決めたユベントスのパウロ・ディバラ【写真:Getty Images】

 前半21分、リオネル・メッシのスルーパスに反応して単独で裏へ飛び出たアンドレス・イニエスタのシュートを、ジャンルイジ・ブッフォンが指先で触ってゴールから逸らす。「簡単そうに見えるが、大変なファインセーブ」と試合後にマッシミリアーノ・アッレグリ監督が褒めることになるのだが、そのプレーの直後、先制に成功していたユベントスは2点目を奪った。しかも、いともあっさりとだ。

 左サイドを縦に突破したマリオ・マンジュキッチが、マーカーを振り切って中央へ折り返す。するとエリア手前の位置では、パウロ・ディバラがものの見事にフリーになっていた。この日は中盤の底として起用されていたハビエル・マスチェラーノの視野から巧みに逃れた彼は、バルセロナのDFとMFの間のスペースをまんまと取る。そして、精度の高いシュートを突き刺した。

 前半6分の先制点も、右サイドからの組み立てではあったが似たような形で取れている。「選手たちは良いアプローチで試合を進めてくれた。我々はバルセロナの弱点を研究して突いた」とアッレグリ監督は試合後の記者会見で語ったが、まさに彼らの勝利はバルセロナの脆弱なサイドの守備と、不安定なセンターラインという2つの弱点を攻めてもぎ取ったものだった。

 守備上の表記で4-3-3を示すバルセロナのシステムは、攻撃時には3-4-3として機能する。右にはメッシ、左はネイマールと、どんな相手にも絶対的な突破力を誇示する2人のアタッカーをワイドに張らせる。また表記上は右SBを務めるセルジ・ロベルトも、時折メッシと入れ替わりながら高い位置を取る。

 チームとして高い位置でボールをキープし、押し込んでいる限りは問題はない。むしろ相手にとって、ピッチを押し広げられてパスを回される攻撃は脅威だ。だがその前に、パスを寸断して相手の布陣を押し下げれることができれば、攻撃的なフォーメーションは一転して脆さをさらけ出すのだ。

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