磐田・中村俊輔が模索する“化学反応”。「見えすぎる」ことでの葛藤。難局をエネルギーに

2017年04月19日(Wed)10時19分配信

text by 西部謙司 photo Raita Yamamoto
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もし、自分が監督だとしたら、中村俊輔をどう使いますか?

「化学反応」を起こすべく、背番号10は模索を続けている
「化学反応」を起こすべく、背番号10は模索を続けている【写真:山本雷太】

 ポジションを自在に越境できるプレーヤーは滅多にいない。二手三手先を読む能力、フィールドを俯瞰できる眼、敵味方両方への観察力、なにより絶対的な技術、味方からの絶大な信頼。中村俊輔はそのすべてを持っているが、それでも常に効果が保証されるわけでないのはサッカーがチームプレーだからだ。チームとの相性がある。

「ポジションを固定すれば、基本的には1対1の戦いになる。それでは強い相手には勝てない。でも、このチーム(ジュビロ磐田)はそうしたプレースタイルに慣れているし、その中で成長していくのかもしれないと思った」

 中村は右サイドのプレーヤーとして振る舞い、そのせいでチームへ与える影響力は“フリーマン”のときに比べるとかなり限定された。それでも伝家の宝刀であるセットプレーからゴールを生み出した。チームメートもそれぞれの持ち場で生き生きとプレーできた。自分の100パーセントを出せていないから不満は残る、しかしそれがチームのためになるなら、自分の力を封印することにも納得していた。

 横浜F・マリノスとの“俊輔ダービー”でも、右サイドでプレーした。何度かはポジションを変えていたが、基本的には清水戦と同じである。

 フィールド上の監督としての資質を持つ中村俊輔は、監督そのものの視点を持つに至ったようだ。実際、監督になるための準備もすでに始めている。ただ、彼はまだプレーヤーなのだ。そんなに物わかりが良いのは果たして本当に良いことなのだろうか。

 もし、自分が監督だとしたら、中村俊輔をどう使いますか?

 この質問に対して、“中村監督”は即答だった。

「トップ下!」

 全然諦めていない。というより、この答えはむしろ選手・中村俊輔そのもののような気もするのだが。ともあれ、トップ下から自由に動いて攻撃にプラスアルファを与えること、チーム全体に大きな影響力を行使することを諦めたわけではなさそうだ。いろいろ見えすぎることでの葛藤は続きそうだが、本人が言うように難局はウェルカム。あらゆることをエネルギーに替えて、この先も自らを動かし続けるのだろう。

(取材・文:西部謙司)

※中村俊輔選手のロングインタビューは5月6日発売の『フットボール批評issue16』に掲載されます

【了】

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