磐田・中村俊輔が模索する“化学反応”。「見えすぎる」ことでの葛藤。難局をエネルギーに

サックスブルーのユニフォームをまとう中村俊輔は、王様ではなく、チームの歯車として献身的なプレーを続けている。その胸中にはどのような思いがあるのか。5月6日発売の『フットボール批評issue16』では中村俊輔の深遠なサッカー観に迫るロングインタビューを敢行。先行して、その一端を公開する。(取材・文:西部謙司)

2017年04月19日(Wed)10時19分配信

text by 西部謙司 photo Raita Yamamoto
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チームの歯車として、葛藤の先にある成長

今季からジュビロ磐田でプレーするMF中村俊輔
今季からジュビロ磐田でプレーするMF中村俊輔【写真:山本雷太】

 清水エスパルスとの静岡ダービーを3-1で制した後なのに、中村俊輔はさほど満足そうには見えなかった。前半の2ゴールは自らのFKから、後半の3点目も狙いすましたパスから決定機をセットアップ、その左足が叩き出した勝利にもかかわらずだ。

「化学反応がね、起こらないんですよ」

 このゲームで、中村のポジションは右サイドに固定されていた。いつもならDFのすぐ側までボールを預かりに下がり、そうかと思えばサイドで起点になり、さらに最後の仕上げをすべくゴール近くへ入っていく…清水戦ではそんな自由な動きがほとんどなかった。禁じられたわけではない。右のポジションを言い渡されたことで、流行の言葉なら「忖度」したのだ。

「キャンプのときからやってきたんだけどね」

 中村の言う「化学反応」とは、ポジションをズラすことで起きるポジティブな変化である。中村が自らのポジションを動かすことで、味方は空いたスペースへ移動し、さらにまた移動が生じる。そうした少しずつ起きるフィールド上のズレ、変化を利用して攻撃を作り上げるつもりだった。ところが、期待したほどの効果がない。

 横浜F・マリノスのときにも、これがいつも上手くいっていたわけではない。中村が下がればビルドアップはスムーズに流れるが、ゴール近くで仕上げをする人がいなくなる。逆に中村が前で待つとボールが来ない…たぶん「中村俊輔」が2人いれば万事上手く回るのだろうが、生憎そんなプレーヤーはなかなかいないのだ。

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