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Jリーグ 7年前

「湘南スタイル」継続が導く10代選手の積極起用という必然。ぶれない指揮官の熱い思い

text by 藤江直人 photo by Getty Images

若手選手のはつらつとした動きに心を震わせる指揮官

東京ヴェルディ戦でデビューした石原広教
東京ヴェルディ戦でデビューした石原広教【写真:Getty Images】

 たとえば前半13分。左サイドバック・福村貴幸に猛然とアプローチをかけ、強引にボールを奪ってカウンターを仕掛けてGKビクトルと1対1になったが、狙いすぎたシュートは枠をとらえられなかった。

「ああいうシーンが最近多いというか。ただ、昨シーズンはなかったことなので、そこはいいことだと思って継続しつつ、もっともっと質を高めていきたい」

 努めて前を向く齊藤に、曹監督は試合後にあえて「下手くそ」と檄を飛ばした。もちろん期待の裏返しであり、鹿島アントラーズに移籍したMF永木亮太に追いつき、追い越せる逸材だと信じて疑わない。

「ゴールに近づけば近づくほど、サッカー選手じゃなくなっていくけどね。あのシュートを外すほうが難しいし、フリーでボールを受けたときほど変なプレーをする。でも、あそこまでボールを奪い切る選手はいまの日本には少ないし、そこは本当に楽しみ。根性もあるし、変に落ち着いてほしくないよね」

 開幕戦から先発として抜擢してきた市立船橋高校出身の左利きの杉岡には、同じくアントラーズに移籍したDF三竿雄斗をさらにスケールアップさせた未来像を描いている。再び4バックに戻すことに伴い、秋野と交代させた意図を「サイドバックの選手ではないから」とこう続ける。

「3バックの左が一番いいと思っている。4バックならば真ん中。五分五分のボールをピタッと止めて、味方にパッと縦パスを入れるプレーは、教えてもなかなかできない。ポジショニングや守備などは改善しなきゃいけない部分があるけど、相手が嫌がるプレーにチャレンジしていく姿勢は奨励していきたい」

 そして石原。左ワイドとしてデビューさせた東京ヴェルディとの前節。がむしゃらに前へ、前へと出ていく姿が、同じポジションを主戦場としながら今シーズン中の復帰がほぼ絶望となる大けがを負った、キャプテンの高山薫のデビュー当時と「何度もダブって見えた」と曹監督は心を震わせている。

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