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Jリーグ 7年前

【YOUはどうしてJリーグに?】横浜FMの元バルサMFバブンスキー。父がプレーした特別な国・日本で取り戻した喜び

シリーズ:YOUはどうしてJリーグに? text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

父が勧めたJ移籍。夏に祖国の歴史を変える戦いへ

バブンスキー
ダビド・バブンスキーは父の古巣ガンバ大阪戦でも横浜F・マリノス勝利のために奮闘した【写真:Getty Images】

 1年間、ほとんど試合に出られない中でバブンスキーは悩み抜いた。アビスパ福岡所属歴を持つミオドラグ・ボージョヴィッチ監督を「誰がプレーして誰がプレーしない、ということについて彼なりの理由があったんだと思う」と一部擁護したものの、どんなに努力しても報われない状況に置かれていた。

「昨年はフットボールの選手としてではない側面について考えることが多かった。試合に出られないことが多かったから、自分の内面を見つめてより強くなれるよう考えたり、辛抱強く練習して自信を失わないようにしたりね。あの1年は無駄ではなかったし、ポジティブなものだったと思う」

 そんな苦しい日々を乗り越えた先で、運命は壁に立ち向かい続けた勇者に微笑んだ。「特別な国」日本への移籍である。

「僕が持っていた全ての選択肢の中で、日本移籍の可能性が非常にハッキリと見えていた。実際に来てみて、この決断が間違いでなかったと感じている。すごくハッピーだし、日々たくさんのことを学び、成長できている。自分のキャリアを考えると、素晴らしい決断だったと思う」

 父ボバンも「日本からのオファーを受けたと聞いて本当に興奮した! 私は彼に考えて時間を無駄にするなと伝えたよ。深く考えずとも、すぐに日本へ行くことを強く勧めた。Jリーグでなら彼のキャリアと人生のためにとても重要なことを学べるとわかっていたからね」と、息子がかつて自分がプレーした国への移籍を決断したことに喜びを隠せない。

 実際にバブンスキーは横浜FMですぐにレギュラーを掴み、中村俊輔去りし後のトップ下で攻撃のタクトを振るっている。開幕戦からの2試合連続ゴール以降、得点数こそ伸びていないが、随所で高い技術と卓越した戦術眼を発揮している。

 そしてこの夏、23歳を迎えたマケドニアの希望の星は、2つの祖国のための戦いに挑むことになるかもしれない。1つはマケドニアA代表の欧州予選だ。「監督に呼ばれるかどうかだからわからない」ため、こちらは出場が叶うかは不透明。

 だが、もう1つのU-21欧州選手権は、バブンスキーにとっても祖国にとっても非常に重要な大会となる。これまでW杯やEUROに縁のなかったマケドニアにとって、歴史上初めて出場権を獲得した大規模な国際大会だ。

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