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日本代表 7年前

【U20】久保建英と堂安律、共鳴した2人の感性。守備陣も試合中に立て直し。攻守両面に収穫は大

text by 元川悦子 photo by Getty Images

攻撃陣のギアを一段階あげた久保建英

 この苦境を何とかしのぎ、時間が経過するにつれて、日本は相手のリズムや身体能力に慣れ、逆に主導権を握るようになる。「前半の後半から徐々にボールが回り始めて、後半になればもっとあいてくると思った。全然慌てることはなかった」と堂安が言うように、小川が2度の決定機を迎えるなど、得点が生まれそうなムードはじわじわと高まっていた。

 それを具現化したのが、後半開始早々の3分だった。左サイドで高い位置に上がった舩木翔(C大阪)とのワンツーから岩崎が中央に鋭いボールを送った瞬間、エース小川がゴール前で反応。確実にシュートを流し込み、ついに同点に追いつく。「自分が取らなきゃいけないっていう責任がある」と事前合宿から繰り返し強調していた背番号9の待望の一発でチームは勢いに乗った。

 そこで内山監督は、すかさずジョーカー・久保建英(FC東京U-18)を三好康児(川崎)に代えて投入。彼と小川を2トップで組ませ、岩崎を左サイドに移動させる布陣変更を行った。「建英は非常にクオリティの高い選手なんで、チャンスメークをしてくれると思った」と指揮官も絶大な期待を寄せていた。

 バルセロナ下部組織出身の15歳のアタッカーへの関心は現地でも極めて高く、彼の一挙手一投足は大いに注目されていた。が、本人は周囲の雑音を一切気にせず、いきなりファーストタッチで小川に切れ味スルーパスを出してみせる。試合を視察した日本サッカー協会の西野朗技術委員長も「2つ3つ先の展開が見えているし、相手が3~4人いても平気でスルーパスを出そうとしていた」と強心臓ぶりを絶賛したが、この若武者の登場で日本攻撃陣のギアがもう一段階上がった。

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