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バルサ、国王杯3連覇の立役者。先進的なフィジカル理論でチーム支えた青年コーチ

5月27日、コパ・デル・レイ(国王杯)の決勝戦が行われ、バルセロナがアラベスを3-1で下した。ルイス・エンリケ監督が指揮を執る最後の試合で、バルサは同大会3連覇を達成。ルイス・エンリケはバルサの監督として3シーズンで9つものタイトルを獲得したことになるが、この快挙の影には、青年コーチの尽力があった。(文:坪井健太郎【バルセロナ】)

text by 坪井健太郎 photo by Getty Images

コパ3連覇の立役者、ラファエル・ポル

バルセロナ
16/17シーズンのコパ・デル・レイを制したバルセロナ【写真:Getty Images】

 2017年5月27日に行われたスペイン国王杯(コパ・デル・レイ)決勝の組み合わせは、ルイス・エンリケ監督の退任が決まっているFCバルセロナと、1部昇格組ながら破竹の勢いでコパを勝ち上がってきたデポルティーボ・アラベスの対戦となった。

 結果としては大方の予想通りFCバルセロナが3-1で勝利を飾り、ルイス・エンリケ監督のラストゲームを有終の美で飾った。このタイトルを受けて、ルイス・エンリケ監督のFCバルセロナはコパ・デル・レイ3連覇を成し遂げ、率いた3シーズンで9つものタイトルを獲得したことになる。

 ルイス・エンリケ体制のバルサで何よりも注目されたのはMSNと呼ばれるメッシ、スアレス、ネイマールの3トップの存在だろう。世界トップレベルの選手たちが常に在籍しているバルセロナだが、この3トップは歴代の中でも群を抜くメディアティコ(注目される存在)なクラック(スター選手)であり、マネジメントが難しい。FIFAワールドカップ、南米選手権など毎シーズン代表のコンペティションがオフシーズンに入ることもありコンディション管理は容易ではない。

 そのような、非常に難しい条件下でチームのフィジカル管理を担当したプレパラドール・フィジコ(フィジカルトレーナー)が“チームルイス・エンリケ”には在籍している。その名はラファエル・ポル。マジョルカ島出身、若干30歳の青年だ。

 ポルは2010年にINEF(スペインの体育大学)のサッカー専門課程を卒業すると、2011年にルイス・エンリケがセリアAのASローマの監督就任する際に引き抜かれ、その後ローマ、セルタ、バルセロナという3つのクラブでルイス・エンリケと共にプロのキャリアを歩み、同監督から絶大な信頼を得ている。

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