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川島永嗣が語る「葛藤の1年」。求めるものは「もっと先にある」と気づいた【インタビュー】

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

終盤の残留争い。自分のアピールより“使命”を果たすという思い

3月のW杯予選ではPKストップを見せるなど好パフォーマンスを披露した川島
3月のW杯予選ではPKストップを見せるなど好パフォーマンスを披露した川島【写真:Getty Images】

―――PSG戦はローテーションで出場したとのことですが、その後チャンスが来るとは思っていなかった?

K 代表から帰ってきた後で(3月のW杯予選)残りのシーズンも少なくなったし、チームの調子も、年が明けてから失点も減って悪くなかったから、現実的に考えて難しいんじゃないのかな、とは考えていました。

―――PSG戦の次のロリアン戦でディディヨンが5失点を喫すると、翌節のナンシー戦で先発に起用されました。監督からはなんと?

K 「次の週末の試合はお前で行くから」と。

 また大変なゲームが来るなあと思いましたね。ダービーだし。ダービーはその町の人が一番思いを賭ける試合で、それはどこの町でも変わらない。ベルギーでもスコットランドでも経験させてもらったけれど、それだけ注目されて思いがこもった試合だし、なおかつ直接対決。

 勝てば自分たちは残留に近づくけれど、負けたらかなり危ない状況になる……自分が試合に出る、出ないよりも、これだけ大きい試合になったらとにかく集中力高めてやるしかないな、という気持ちで、自分が出るとかそういうことはあまり考えていなかった。

 試合が終わった後で、ひとつ山を乗り越えた、というような気持ちの高揚はありましたね。

―――ということは、ここで自分をアピールしよう、といったことはあまり考えていなかった?

K というよりは“使命”、ですよね。PSG戦はどちらかというとプレゼントのようなもので、ここまでやれることはやってきて、ローテーションだったけれど監督からは「tu merites(君はそれに値する)」と言われたのでとにかく楽しもう、と。

 けれどナンシー戦に関しては、クラブの行く末がかかった試合、なおかつダービーだったので、自分が出るからどうこうというよりは、このクラブの一人として勝つ、という使命を託された感じでした。

―――この試合でのプレーが(2-1で勝利)次のリール戦出場にもつながりました。

K そうですね。勝てばやっぱり。キーパーを替えるということはあまりないので。

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